ザ・ポリティシャン


このところ、ずーーーっとNetflix上のライアン・マーフィーにはまっていて、『ポリティシャン』を見終わったところ。

「politician」には、政治家という意味の他に、私利・党利を目的とする「政治屋」を意味することが多いそうだ。いわゆる策士のこと。自分がのし上がっていくためには手段を選ばず、どんな手段を使ってでも上り詰めていく人のこと。

政治にはあまり興味がないのだけど、この「ポリティシャン」はとても見応えのあるドラマだった。

西海岸の超大金持ちの3男が主人公なのだけど、いずれは大統領になることを夢見る彼が、あの手この手で高校の生徒会長を目指すというのがシーズン1。お母さん役に僕の苦手なグウィネス・パルトロワが出ていてそのセレブぶりに笑える。

この3男が、なんとも憎めないのは、上の二人の兄弟とは違って養子であり、兄たちからは常に酷いいじめに遭っていたり、バイセクシュアルなのか、男性とも恋をしてしまったり、当選するためにあの手この手で策略を練るものの、思いがけない罠や失敗にはまり、結果的には酷い状況になってしまうから。

それは、高校生のドタバタを見ているようでいて、アメリカや日本における政治の世界を見ているようでもある。最後の回に、大好きなベット・ミドラーが出ていて、見ているだけで大笑いしてしまった。

⭐️ザ・ポリティシャンhttps://www.netflix.com/jp/title/80241248

さようなら、トータルワークアウト。

もうかれこれ10年以上通っていたジムである『トータルワークウト』を、このコロナ禍の見直しで退会することに決めた。

3月末までは普通に通っていたのだけど、コロナの影響で4月5月と休館になり、身体に負荷のかからない日々が続いているが、これを機にジムも変えたっていいかもしれないと思ったのだ。

トータルワークアウトは、はじめは毎回パーソナルトレーナーをつけて、正確なフォルムを学べたし、トレーニングを続けていくことで得られる喜びを味わわせてもらった。

トータルワークアウトは、芸能人と、ヤ⚫️⚫️関係の人が圧倒的に多いのが特徴だろう。セレブ用に別のロッカーが用意してあるのも今考えると不思議だった。

実は、このコロナ禍をいい機会と捉えて、ジムをはじめ、様々なものを見直している。

今までは、「こうでなければならない」と勝手に思っていたことも、この緊急事態でミニマムな生き方を見つけられた今、それが本当に必要なものなのかどうか、一つ一つ洗いざらい白昼の元に出して精査しているところ。一度削ぎ落としたり、変えてみて、違ったらまた別の道を探してもいいのだから。

日常の仕事に忙殺されて見えなかったものが、今、はっきりと目の前に見えているのかもしれない。

母のマスク。

ずいぶん前に、母から電話があった。

母「あなた、マスクを作ったから、いる?
Kくんの分もあるのよ・・・
お母さん、集中しすぎて手が痛くなったわ」

僕「ああ・・・まだマスクあるから大丈夫だよ。
またなくなったらもらおうかな」

母「あら、そう?お兄ちゃんもおんなじこと言ってたわ。
あなたたち、手作りのマスクなんてつけないのかしら?
わかったわ」

母の声はどこか寂しそうで、そんな話を帰ってきたKにすると、

K「お母さん、かわいそう!
すぐに電話かけてもらってあげて!
でも、郵便局とか行くと危険かな・・・?」

翌朝母に電話をかけて、「せっかく作ってくれたのだから、ありがたくいただくよ。Kが喜んでいたよ」
と伝えると、兄のお嫁さんも同じ反応をして結局兄の家にも送ることにしたそうだ。結局奥さんの考えることは一緒ということか。

そんな母の作ったマスクが、家に届いた。

マスクは純和風で、不恰好だけど、どこかからもらったマスクも一つ入れて、僕とKにとちょうど6枚用意してくれたみたい。

母の不器用なやさしさを、ありがたく感じた。

52歳男性の相談。

ネットの記事で、 AERA dot.の中の『鴻上尚史のもっと朗らか人生相談』に寄せられた52歳男性の相談と、鴻上さんの返事を読んで、思わず泣いてしまった。

詳しい内容は、ぜひリンク先から読んでいただきたいのだけど、コロナの影響で、15年間勤めていた飲食店を突然解雇されてしまった52歳男性の相談。

今は、「不安で吐きそう」で、未だに奥さんに伝えられずにいるという男性の気持ちが、痛いほど伝わってきた。

そして、それに対する鴻上さんの文章を読んで、人生相談って、答えを書けない時もあるのだと、改めて思い知らされたのだ。

こういう人の相談事を読むことが僕は好きだ。

それは、自分とは違う他の人の人生を想像することができるから。自分の世界が全てではなくて、世界には様々な状況に置かれている人たちがいることを想像し、世界の捉え方が広がり、身の引き締まる思いがするからだ。

この相談者の男性に、一日も早く明るい兆しが届くことを願っている。

⭐️鴻上尚史のもっと朗らか人生相談https://dot.asahi.com/dot/2020051500023.html?page=1

アゲハの幼虫。その2

このところ、代々木公園や外苑西通り、家の周りの道を散歩しながら、僕はずっと探し続けていた。

何を探し続けていたかというと、レモンやみかんなどの柑橘系の木がどこかにたわわに植わっていないか。

僕の家のベランダで沢山のアゲハの幼虫がかえったことは、数日前にここに書いたのだけど、家のレモンやライムの葉っぱの量には限りがあって、これから幼虫が成長していく中で、どうしたらいいのかとずっと迷っていたのだ。

かといって、この幼虫たちを外にぽいと捨てて見殺しにすることもできない。よくよく考えた挙句、公園や通りに鬱蒼と茂っているレモンやみかんの木があれば、そこに持っていってそっと放してあげるのがいいと思ったのだ。

そして今日、代々木公園を回って、目を皿のようにして探したけど見つからず、富ヶ谷から渋谷に出て、渋谷から246を通って外苑前に向かう途中、ブルックスブラザーズの前の246を挟んだ向かい側の道路沿いに、大きなレモンの木が鬱蒼と茂っているのをKが見つけた。

僕たちは大喜びで、「ここならみんな安心だね!後でここに持ってきて放してあげよう!」

と言って、家に向かって歩きはじめた。
でも、家に向かう道すがらよくよく考えてみると、何かレモンの木が変なのだ。

あまりにも綺麗で、葉っぱは一つも虫に食われておらず、病気もなくテッカテカとしている。それはまるで、農薬をまぶされたレモンのように・・・。

「あの246沿いのレモンの木、消毒されてるのかもね・・・」僕が言うと、

「かわいそう・・・幼虫、死んじゃうよ」Kが心配そうに言った。

「やっぱりあそこはダメだな。みんな消毒されて一瞬で死んじゃうね」

そう思って家に帰り、しばらくはまだうちのベランダで面倒を見ることにしたのだ。

アーミステッド・モーピン 小説家の知られざる物語


このところ、映画館にもずっと行けていないので、家でNetflixやamazon primeでテレビドラマや映画を観るのが楽しみになっている。

どういうわけか、ゲイやLGBTQに関係するものばかり見たいと思うもので、つくづく自分がゲイ1000%だなあと思うのだ。

アーミステッド・モーピンは、アメリカのとても有名な小説家のようで、残念ながら僕は彼の小説を読んだことがないのだけど、このドキュメンタリーはとても見応えのあるものだった。

アーミステッド・モーピンは、由緒あるとても保守的な家で生まれ育ったため、自分の性的指向を自覚しながらも、いつまでも周りに言い出すことができずにいた。

彼の育った生い立ちや、LGBTQに風当たりの強い時代背景を見ていると、今よりもずっと生きづらい時代であったことがわかる。そしてそんな中で、自ら少しずつ性的指向を認め、周りにも少しずつ認められていく過程を、まるで自分のことのように見守ってしまった。

静かだが、心に残る素晴らしいドキュメンタリー。

⭐️アーミステッド・モーピン小説家の知られざる物語https://www.netflix.com/jp/title/80182949

小さな自然の循環。

我が家には、ここで何度も書いてきた『アメリカザイフリボク』別名『ジューンベリー』という木があって、6月を待たずにいつのまにか実が赤く色づきはじめた。

それを見つけるのは、実は僕よりも鳥たちの方が早くて、ある日、鳥が鳴いているなあ・・・と思ったら、赤く色づきはじめたジューンベリーの実をヒヨドリが食べにきていたのだった。

このジューンベリーには、ヒヨドリの他にもスズメやメジロがやって来る。メジロは大抵2羽でやってきて、小さな可愛い声で鳴いている。

体の大きなヒヨドリは、大きな声でヒー!ヒー!と鳴くのと、全て食べ尽くすくらい貪欲なので、ヒヨドリの声が聞こえたら、ベランダに出て追い払うようにしている。

せっかくなったジューンベリーの赤い実は、できればメジロやスズメにゆっくり食べてもらいたいと思うのだ。

小さな我が家のベランダにアゲハチョウが卵を産み付けに来る。

バラやタイムやレモンの花に蜂が集まってきては、蜜を運んでゆく。

赤くなったジューンベリーの実を、鳥たちが食べに来る。

東京で生きる動物たちに害がないように、僕は無農薬でベランダの植物たちを育てているのだ。

アゲハの幼虫。その1

毎年のことなのだけど、ベランダに蝶々がたくさんやってくる。来るのは主に、アゲハ蝶。

それは、うちには柑橘系の植物がいくつもあるから。

レモン、カボス、ゆず、ライム、斑入りレモンとあるので、蝶々はそのいずれかに卵を産みつけていくのだ。

卵は、黒く小さな点で、じっくり見ないとわからないくらい小さい。

でも、幼虫になると、黒く少し細長い形になるのでわかりやすくなる。幼虫は黒いまま、脱皮を4回くらい繰り返して緑色のいわゆる「青虫」になる。


今年もたくさんの卵が産み付けられたようで、ふと見るとたくさんの幼虫が葉っぱをムシャムシャ食べていたのだ。

さて、このまま幼虫を見過ごしていていいのか、どこかに幼虫を放つのか。それが今のベランダの差し迫った問題。

目の前の波。

帰ってくるなりKが腕が痛いと言っていた。
腕を見ると、赤い線が見えた。

僕は、寝違えたか、仕事で使いすぎたか何かかな?くらいに軽く考えて食事の準備をした。

でも、晩ごはんになってもあまり手を使えないのでフォークで食べたり、なんだか様子がおかしいので心配になり、ソファで先に眠りに落ちたKを見ながら皿洗いや片付けをしていた。

よほど手が痛いのか、シャワーを浴びて先に寝室に行ったKをそのままにして、ネットで調べて見ると、「リンパ管炎」などの症状と似ていて抗生物質が必要なようでさらに心配になった。

僕は眠れずに、この時期に病院で診てくれそうなところはあるか?そもそも血液内科なんて大きな病院しかないこととか、いろいろ調べているうちに朝方になり眠りに落ちた。

朝起き出したKは、少し痛みが治まったようで、箸も使えるようになり少しほっとした。

パートナーが怪我をしたり病気をすると、自分も同じように胸が痛むのを感じる。でも、家族がいることは、病気や怪我の時に支え合うことができるから心強いと思う。

生きていれば、様々な予測できない波が突然目の前に立ちはだかることもある。

そんな時に僕たちは手をぎゅっとつないで、なんとか目の前の波を一緒に乗り越えて生きているのだ。

大分からの小包。

晩ごはんを作っている時に、Kのお父さんお母さんから、小包が届いた。



中を開けて見ると、たくさんの貝と、玉ねぎやにんにくが見える。


袋に包まれているものは、なんだろう?と思ったら、テングサのようだ。

中には、お母さんが書いたであろうお手紙が入っていた。

「ただしさんへ
いつもありがとう
Kがお世話になっています。

〈ところてん〉 酢醤油(ごま油)つゆなど、お好みのものをかけて
天草 20g×5に分けています。

作り方はLINEで  父母より

本当は、もう少しでカレーができていたのだけど、急遽メニューを変えて、今日は大きな貝をさばいて刺身で食べることに。それに合わせて出汁巻き卵を作ったり、絹揚げを炙ったり、メニューを和食に変更した。


大きな貝は、ちょっと性器のように見えるけど、2枚貝の開き方を調べてナイフで開けたら開くことができた。この貝は、オオノ貝というそうで、大分ではお寿司屋さんでも出てくることもあるらしい。コリコリして全く臭みはなく、とても美味しかった。


前にもいただいた大きな白い貝は、白貝で、これは明日焼いて食べることに。

2
アサリは明日の朝、煮麺で食べることにして、ニナ貝はこの後茹でてしまおう。食べきれない白貝は冷凍して・・・と、しばらく貝づくしになりそう。

僕たちがまだ、ふたりの関係を親に言わずに二人でこっそり暮らしていたならば、きっとこんなこともなかったのだと思う。

最初は、黙ったまま僕のことを何一つ聞こうともしなかったKのお父さんでさえ、二人がたとえ男同士であっても、ともに暮らしていることを、少しずつ受け入れはじめているのだと思い、幸せに感じた夜だった。