wild strawberry

ワイルド・ストロベリー
冬の冷たい北風の中で
うつむきながら小さな花を咲かせ
忘れた頃にほんのり甘い実をつける
注意深く見ると
葉っぱや花の中にも
苺を思わせる赤が潜んでいる
薔薇の足元でも出しゃばらずに
自然に佇むその姿は
華やかさは無いけれど
いつもそばに置いておきたいと思う

大寒の日に。

今日は、一年の内でも最も寒い頃と言われる「大寒」。先週の大雪の後、東京はずっと寒い日が続いている。今日は、家で牛のテールスープを作って温まった。
昨夜は、久しぶりに友人Bと、「勢揃い坂 ぎん清 http://sobaginsei.com/」で食事をした。Bとは、知り合ってから随分長いのだけど、食事をたまにするようになったのは最近のこと。同じ世代ならではの親の老いや、一人での食事のことなど、話は尽きない。
長い間独りでいるBは、もしかしたらもう、独りで生きてゆく覚悟を決めていてパートナーなど求めていないのかもしれないと思っていたけど、やはり、恋人を探しているようだった。
「どうしたら、いい人が見つかるのだろうか?赤いアプリをまた始めてみようか?」と言うBに、「インターネットでの出会いは、やはりほとんどの人がセックスが目的だから、長く付き合うなどという関係は難しい気がする」と僕は答えた。
この星の上で、誰もが誰かを探している。東京で赤いアプリなんかを見ると、それこそ、星の数ほどゲイはいる気がする。一発やってそのうち飽きたら、また違う人を探すことは簡単だと思える。だって、そこら中やりたいゲイばかりなのだから…
昔と違って、インターネットのおかげでゲイも顕在化するようになって、沢山の人と知り合い、デートをすることも可能になった。僕も一時期、一日に何人もの人と会っていたこともある。でも、ある程度の人と会って、急に、もういいや。と思った。そして、もうやめよう…と思っていた時に、Kと知り合った。
Kと僕の関係だって、この先どうなるのか分からない。どちらかが、そこら中で手招きしている誘惑に、負けてしまうことも起こるかもしれないからだ。
でも、これだけ誘惑の多い世界で、僕たちはなぜ、あえて、特定の人とふたりで生きることを選んだのだろうか?
それは、この不確かな世界にあって、目には見えないかもしれないけれど、お互いに、愛し、愛されているという、確かな実感を感じることが出来るからかもしれない。
毎朝、起きると、Kから、「おはよう」とメッセが入っている。夕方仕事が終わって家に帰ると、Kは「ただいま〜」とメッセをくれる。晩ご飯の話や、会社であったことなど、さもない会話が、僕たちの毎日を繋いでいる。
明日も、離れて暮らすふたりの手が、どうか繋がっていますように・・・。

男同士の結婚。

僕は、生まれながらのゲイ(前世からかもしれない)で、日本に生まれ育って、今まで結婚ということ自体、自分ごととして考えたことなどほとんど無かったのだけど、今日は、先日婚約をして、これから結婚するという男同士の友人カップルSとYに会って、友人GとMのふたりとともに彼らの結婚式の手伝いをするための打ち合わせをした。
彼らは、自分たちの閉じた世界だけで結婚式を挙げるのではなく、親族、友人、知人を越えて、公の場で男同士の結婚式を挙げようとしている。
世界では州や国において、同性婚が少しずつ認められて来ているけど、日本では、未だに法律的には同性婚は認められていない中、結婚という誓いをすることになんの意義があるのかという人もいるだろう。権利など主張せずに、お願いだからそっとしておいてくれというゲイの人たちも僕の身近にはいる。
ふたりが公の場で結婚をするということは、日本のゲイやセクシャルマイノリティーだけに限らず、異性愛者にとっても、とても意味のある出来事になると僕は信じている。今まで差別をしたり、偏見を持ったりしてきたことを、自ら問い直す人もでてくるに違いないと思うから。間違いなく10年後には、世界では同性婚もどんどん認められてくるだろうし、保守的な日本でさえ、変わって来るに違いない。愛し合うふたりが結婚を選ぶことに、なぜ他者が反対をしなければならないのか?
ふたりが寄り添い、ともに暮らし、これから人生の様々な局面を越えてゆくのだ。眩しく輝いているふたりを心から祝福したい。
今回の打ち合わせで一番時間が割かれ、且つ盛り上がったことは、結婚式当日、各自がいったいどんな衣装を着るのか?ということだったということを書き記しておこう・・・。

旅行の前に。

明日から旅行に行く母から電話があった。「明日、飛行機に乗るから。B787ではないんだけど…」
先日、全日空のボーイング787が発熱のため高松空港に緊急着陸する事故があった。その後、世界中で787の運航を見合わせている。
母は、飛行機に乗る時や旅行に行く前には、必ず僕に電話をして来る。
僕は、「お母さん、実際に、飛行機による死亡事故は、車による事故とは比べられないほど少ないから、安心して」と話した。
昔は僕も、必ず海外に行く時は、母に電話をかけていた。母は僕が学生の時から遠出の前には僕にそうさせていたし、安否を気遣っていたのだろう。今は、あまりにも頻繁に海外に行くし、かえって心配させてしまうと思って、長期で行く時以外は知らせないようにしている。
旅に出る時や、帰って来た時に、電話をかける人がいるというのは、自分が気遣い、気遣われている人がいるということ。
この地球上において、親であれ、パートナーであれ、友人であれ、自分が気遣い、気遣われ、愛し、愛されている人がいるということは、それだけで何て温かく、幸福なことだろうか。

大学三年生

就職を控えた学生のポートフォリオを見た。まだ作品が十分に作れていないし、そもそも、自分が一体何をしたいのかさえ分かっていない。大学三年になり就職を意識して始めて、本当は自分は一体、何になりたいのだろうかと考え始める人が多いのだと思う。
僕が彼らに言うことは、一つは、今まで何をして来たのか、きちんと自分の過去を遡ってまとめておくように。もう一つは、一体この先何をやって行きたいのか、人に伝えられるように。そして何よりも、自分自身がワクワクする道に進んで欲しいということ。
もし第一志望の会社に入れなくても、必要以上に落ち込む必要はないと。就職が人生のゴールではないのだということ。働き出してまたそこから、自分でその先の人生を選び取って行くことが出来るということも。
緊張と好奇心に溢れた瞳を見ていると、昔の自分が懐かしくもあり、それぞれが少しでも夢に近づけるようにと願うばかりだ。
☆鶏の水炊き
晩御飯は博多風の水炊き。骨付きのぶつ切り鳥肉800gを軽く湯通し。土鍋に水を入れて強火で沸騰したら、灰汁を掬いながら途中水を足しつつ30分以上。はじめに軽くスープを塩で。カボスのポン酢に鴨頭ねぎをたっぷり入れて鳥肉を食べた後、キャベツや水菜や豆腐も。最後は、うどんか春雨か雑炊に。

こころ

今日のように、まだ雪が道に残り、空気が冷蔵庫の中のように冷たく、薄陽もささない冬の日は、心も、息を殺すように静かになる。
今、目の前にある問題を考えながら、一歩一歩踏みしめるように雪の道を歩いていたら、急に空から光が射し込んで来た。
光に照らされながら、遠くに覗く青空を見上げたら、抱えている問題も、きっとどうにかなるに違いないと思えて、心が急に軽くなった。
傷ついたり、震えたり、弾んだり、萎んだり、膨らんだり…人の心は、周りの出来事に、なんて影響されやすく、変化しやすいのだろうか。
そして、最近よく思うことは、身辺でたとえ不幸な出来事が起こったとしても、出来事は、ただそこにあるだけで、実は世界は変わっていないということだ。
その出来事を、どう捉えるかによって、その人の世界が変わってしまうということ。
本当は、僕たちの周りで何があろうとも、太陽はきちんと変わらずに僕たちを照らし続け、世界は変わらずにそこにあるのだ。
心はいつも、湖面のように、風や雨によってさざ波立ってしまうけど、それを分かっているのなら、何があろうとも、いつも、心は満たされて、幸せであればいい。
[写真 : プリムラ・ジュリアン。雪道を歩いていたら、ほぼ毎日覗くお花屋さんFUGAhttp://www.fuga-tokyo.com/で、小さな花に出会った。おばあちゃんみたいなシックな花は、英国で特に親しまれている]

守護神

東京では、17年ぶりの大雪。
昨日も今日も、質実剛健なダナーを身につけた。
横殴りの吹雪にも負けず、
足元をきっちりガードして、水分は靴下に一切染みて来ない。
クライアントへ向かう道のりも、坂道で足を取られそうになったけど、
ダナーががっちり守ってくれた。
学生の頃から履き続けている、頼りになる僕の守護神。
こういう人に、いつか、なりたい。

ハプニング

降り出していた雨が雪に変わり、あっと言う間に町中が真っ白になった。
遅い朝ごはんは、秋刀魚の一夜干し、豆腐、明太子、ちりめん山椒、納豆、小松菜のお浸し、大根の味噌汁、蕪と蟹の煮物、白米。
二人で過ごしていると、時々、思いがけない出来事が起こる。今回は、雪で飛行機が欠航になり、大分に新幹線で帰るために東京駅に向かった。
東京駅では、飛行機に乗れない人たちが殺到して、窓口も自販機も長蛇の列。Kも進まない列にイライラしだし、あっと言う間に席も埋まって行った。博多までの指定席もほとんど無くなりはじめた頃、ギリギリで最終が取れた。
出発まで時間があったので、お茶でもしようと地下に行ったけど、Kはまだ落ち着かないので、僕はトイレに立ち、そのついでに弁当を買って帰って来た。するとKは、「イライラしてしまってごめんなさい」と謝って来た。「でもTさん、なんで、いつもそんなにのんびりしてるんですか?僕がこんなに焦っているのに…」
二人で生きていると、違いを発見する機会が何度もやって来る。目の前で起こった出来事に対して、どう捉えるのかは、人によって違うからだ。
僕は、今回のようなハプニングは、なるようにしかならないと思っている。もし今日、飛行機が飛べなかったら、明日帰ればいいやと安易に考えてしまう。Kは、何があろうとも、絶対に今日中に家に帰らなければならないと考えるタイプ。もちろん、仕事の違いもあるのだけど…。
当然、Kから僕を見たら、「この人、なんでこんな一大事に、なんてのんびりしたこと言ってるんだろう?」と思うだろうし、僕からKを見たら、「なんでこんなに焦ってるんだろう…」と思ってしまう。
小さなハプニングがあって、二人で相違点を見つけて、それをなんとか乗り越えて、その度にほんの少し二人の絆が強くなるのかもしれない。
今は、昼間に二人で開けた、「ブルネロ・ディ・モンタルチーノ」を飲みながら、新幹線に乗って8時間くらいかけて夜中の1:30に大分に着くKが、今頃どの辺にいるのかな?とぼんやり考えている。

最強のふたり

水蛸やツブ貝

一月なので、お餅入りのお澄まし

鮑の磯焼き

今日は、Kも早く起きたので、伊勢丹の、「分けとく山http://s.tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13004310/」でランチ。大将の今村さんとは、このお店が開店してからのお付き合い。定番の、鮑の磯焼きに、始めて食べたKも大喜び。
その後、武蔵野館で、映画「最強のふたりhttp://www.gaga.co.jp/sp/cinemas/detail/saikyo-2」を鑑賞。東京国際映画祭でグランプリを取ったフランス映画で、未だにロングランが続いている。実は、僕がこの映画を観るのは二回目で、Kがどう思うのかな?と思ってこの映画に。不完全な二人が、寄り添うことによって、お互いの日々が鮮やかに色づき始めるという物語は、実話であるが故に、一層温かな気持ちになる。
映画を二人で観終わった後に、お互いにどんなふうに感じたか、そんなたわいもない話が出来ることって、それだけで幸せなことだと感じた…
夜は、家でしゃぶしゃぶを。牛肉のしゃぶしゃぶだったので、昆布出汁にお酒と塩を少し入れて、ポン酢と胡麻だれでいただいた。水菜と芹をたっぷりと。とにかく肉が好きなようで、びっくりするくらい食べてくれる。二人で軽く四人分食べたみたい…
その後、赤ワインを飲みながら、話をしているうちに、幸福な眠りに。

K がやって来た。

ラルドで覆った椎茸のトルティーノ

牡蠣と白菜のフェデリーニ

大分から、Kがやってきた。
K曰く、僕たちはどうやら10月からつきあいだしたみたい・・・。
九時に羽田に到着して、外苑前で会ったのは10時半頃。
寝ぼけた顔をしているのは、
朝まで新年会で飲んでいて一睡もしていないから。
そのままベッドに直行して、1時に叩き起こして(笑)、
「RISTORANTE HONDAhttp://ristorantehonda.jp」に。
このお店、出来た時は何度か通っていたのだけど、
ミシュランの一つ星を取ったら、予約が全く出来なくなってしまった。
今日は運良く当日でキャンセルが出たらしい。
料理はフレンチテイストが入っている、日本人的なイタリアン。
グラスワインも、美味しいものがそろっていて、
こじんまりとした席数でちょっと奥まった場所にあるのでデートにおすすめ。
僕たちは住んでいる所が東京と大分という距離があって、
なかなか頻繁に会うことも出来ないので、
会った時くらいデートらしいことでも…と予約をしたんだけど、
Kは、僕の顔をぼんやり眺めながら大きなあくびをして、
「食べながら寝ちゃったら、ごめんなさい」と言って笑った。
今、僕は家で、米をといだり、一通り夕食の準備をすませたところ。
Kはずっとソファで寝ている。
起きたら、当たり前のように「ご飯!」と言って、
食べた後はきっと、「飲みに行きたい!」と言うだろうな…。
なんか、大型犬みたい…