ハプニング

降り出していた雨が雪に変わり、あっと言う間に町中が真っ白になった。
遅い朝ごはんは、秋刀魚の一夜干し、豆腐、明太子、ちりめん山椒、納豆、小松菜のお浸し、大根の味噌汁、蕪と蟹の煮物、白米。
二人で過ごしていると、時々、思いがけない出来事が起こる。今回は、雪で飛行機が欠航になり、大分に新幹線で帰るために東京駅に向かった。
東京駅では、飛行機に乗れない人たちが殺到して、窓口も自販機も長蛇の列。Kも進まない列にイライラしだし、あっと言う間に席も埋まって行った。博多までの指定席もほとんど無くなりはじめた頃、ギリギリで最終が取れた。
出発まで時間があったので、お茶でもしようと地下に行ったけど、Kはまだ落ち着かないので、僕はトイレに立ち、そのついでに弁当を買って帰って来た。するとKは、「イライラしてしまってごめんなさい」と謝って来た。「でもTさん、なんで、いつもそんなにのんびりしてるんですか?僕がこんなに焦っているのに…」
二人で生きていると、違いを発見する機会が何度もやって来る。目の前で起こった出来事に対して、どう捉えるのかは、人によって違うからだ。
僕は、今回のようなハプニングは、なるようにしかならないと思っている。もし今日、飛行機が飛べなかったら、明日帰ればいいやと安易に考えてしまう。Kは、何があろうとも、絶対に今日中に家に帰らなければならないと考えるタイプ。もちろん、仕事の違いもあるのだけど…。
当然、Kから僕を見たら、「この人、なんでこんな一大事に、なんてのんびりしたこと言ってるんだろう?」と思うだろうし、僕からKを見たら、「なんでこんなに焦ってるんだろう…」と思ってしまう。
小さなハプニングがあって、二人で相違点を見つけて、それをなんとか乗り越えて、その度にほんの少し二人の絆が強くなるのかもしれない。
今は、昼間に二人で開けた、「ブルネロ・ディ・モンタルチーノ」を飲みながら、新幹線に乗って8時間くらいかけて夜中の1:30に大分に着くKが、今頃どの辺にいるのかな?とぼんやり考えている。
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