アマリリス。

アマリリスの花が好きで、真冬の寒い時期にアマリリスの球根を見かけると、ついつい買ってしまう。
いつもは丸裸のまま、ガラスの容器に入れて水栽培をして育てるのだけど、今年は下に土を入れたポットでそのまま育てたら、ようやく花が開き始めた。
白と赤の大輪の花は何本も蕾があり、長い間家の中に華やかさを演出してくれる。
球根はひとつで1200円くらいだっただろうか。球根が育って行く過程を楽しみながら、こんなに立派な花を咲かせるアマリリスを見ていると、なんとも安い買い物だったと思うのだ。
毎朝僕が、「きれいだね!きれいだね!」とアマリリスに向かって話しかける姿を横目で見ながら、Kはいつも笑っている。

一足早い春。

鳩の帽子と合わせたかなようなピンク

ベッドサイド

食卓の上

家に持ち帰ってから、水につけて段ボール箱の中に入れて蓋をして、およそ1ヶ月ベランダで寒さに当てたヒヤシンス。
1月半ばに暖かい家の中に入れたら、部屋の暖かさで春が来たと思いはじめたのか、蕾がいよいよ開きはじめた。
様々な色の球根を、家のあちこちに適当に置きながら、光の状況や部屋の温度によって球根の成長の違いがあるのを毎日眺めながら過ごしてきた。
リビングは、一日中日当たりが良く昼間も暖かで、夜も長い時間暖房が入るので、やはり一番早く蕾が顔を覗かせた。
寝室のベッドサイドに置いた2つのヒヤシンスは、夜の間暖房がないためか、とてもゆっくりとしたペースで葉っぱを伸ばしている段階。
フィンランドの作家の平和を祈念して作られた鳩のオブジェのそばに、何気なく置いておいたヒヤシンスは、まるで示し合わせたかのように、その鳩の被っている帽子と同じようなピンク色の花を咲かせはじめた。
小さなヒヤシンスの球根たちが、一足早い春の到来を、家のあちらこちらで笑いながら知らせてくれている。

河津桜。

鳩森神社の河津桜が咲き始めた。
あまり大きな木ではないが、前を通り過ぎるたびに、蕾が膨らんでいくさまをずっと見ていた桜だ。
河津桜とは、東伊豆にある河津町の河津桜の並木が有名だが、オオシマザクラとカンヒザクラの自然交配種と言われていて、ソメイヨシノよりもおよそ1ヶ月半から2ヶ月くらい早く咲くようだ。
紅白の梅に続くように、鳩森神社では、節分を前に早くも春の饗宴がはじまった。

スノードロップ。

ジューンベリーの下に植えていた、スノードロップが咲き始めた。
寒い時期に、大樹の足下に雪のしずくのように咲くスノードロップは、イギリス人の園芸家には特に愛されている花。
鉢植えだと、なかなか東京の暑い夏を越すのは難しいのだけど、その姿形があまりにもかわいいので、球根を見ると毎年欲しくなってしまう。
ひっそりとうつむいて咲く姿を見ていると、妖精が住んでいるような気がして、飽くことなく何度もベランダに出ては見つめている。

球根。

12月の14日に水につけたヒヤシンスの球根を、ずっとダンボールに入れて暗くしたままベランダに置いておいた。
1ヶ月くらい寒さに当てることが重要なので、週に一度水を換えながら様子を見ていたのだけど、1ヶ月過ぎたのでやっと家に入れることにした。
ソファの横に置いた球根は、どれも驚くほど根っこを伸ばし、一気に芽が顔を見せ始めた。
一足早い春の訪れを、一番寒い冬の家の中で見守っている。
宇宙のポジティブな力を眺めながら、小さな球根に勇気をもらっているのだ。

この宇宙において確かなこと。

およそ一週間前に水をつけて、ダンボールの中に入れて、外気の寒さの中に置きっ放しにしておいたヒヤシンスの様子を見ようと、そーっと覗いてみた。
すると、球根の下から、びっしりと白い根が2センチくらい伸び始めているのを発見。
慌ててKを呼んで根っこの生えたヒヤシンスたちを見せると、Kもびっくりしていた。
懐かしい理科の実験みたいだけど、こんな風に、植物の成長を間近で観察していると、宇宙の不思議を思わざるをえない。
植物を育てていて、ただひとつ確かに感じることは、この宇宙には、成長してゆくポジティブなエネルギーが溢れているということ。
球根の根が伸び、芽が出て花が咲くということひとつとっても、その神様が作ったような見事な演出に、畏敬の念を感じてしまうのだ。

春の準備。

チューリップや水仙、イングリッシュブルーベルやスパニッシュブルーベル、スノードロップフレークやスノードロップの球根も、実は沢山買ってあったのだけど、球根の上に咲かせるビオラを買って来たので、やっとこさ重い腰をあげて球根の植え付けをした。
チューリップなどの球根は、ほぼ毎年植え付けているのだけど、今年はKがいるので、Kにも植物たちの成長する様をどうしても見せたいと思ったのだ。
球根を買うときも、どの花の形や色がいいかを一緒に選んで、鉢の中に植え付けるときも、配色や順番を一緒に考えながら植え付けた。
直径45センチくらいはある鉢を2つ用意して、上からから15センチくらいまで土を入れる。そこへ、チューリップの球根を色の配置や咲く場所を考えながら丁寧に並べる。水仙も比較的深めに植えるので、水仙もこの時点で入れてしまう。
そこへ更に土を足して、上からセンチくらいまで土を入れたら、そこにスパニッシュブルーベルなどの浅めに植える球根を置き、ビオラやタイムなどを並べたら、また土をかぶせる。
最後に水をたっぷりあげて、後は、花に水をかけないように注意しながら週に2回から3回、お水をあげていくうちに、ビオラの花が華やかに鉢いっぱいに広がり、やがて球根たちの小さな芽が姿を見せ始めるだろう。
Kは慎重に土をいじりながら、はじめて植物を植え付けること自体が面白いのか、僕の話を注意深く聞きながら、楽しそうに植え付けを手伝ってくれた。
これから春に向けて、時間をかけてゆっくりと変化してゆく植物を、世話をしながらKとふたり、つぶさに見届けるのだ。

ヒヤシンスの水耕栽培。

植物が成長して行く不思議を、Kとともに見守ろうと思い、さまざまな球根を随分前に買っておいたのだけど、ヒヤシンスの球根は本来ならば12月初旬までに植えるべきなのだけど、バタバタしているうちに放ったらかしのまま中旬になってしまった。
ヒヤシンスの球根は、水に浸けっぱなしにすると菌が水の中で繁殖してすぐに腐ってしまうので、珪酸塩白土などをひとつまみ水に中に加えてから球根の下部の黒っぽい部分だけ水に浸かるようにして暗く寒い場所に1ヶ月間くらい置く。
その間、1週間に1度くらいはお水を替えてあげて、やがて白い根が伸び始めて、芽が顔を見せ始めたら、やっと明るい室内に移動にさせることができる。
それまでの保管は、ダンボールの中に入れて、外のベランダに光が入らないようにガムテープで蓋をしておいて置く。
このまま1月の半ばまで、冬の寒さを十分に味わわせてあげたら、一足早い春を僕たちの部屋の中に届けてくれるだろう。

モミの木。

先日、渋谷の東急本店の屋上にKとふたりで行った時に、モミの木を見つけた。
今までは、自分の家にクリスマスツリーだなんて考えたこともなかったのだけど、Kと一緒に見ているうちに、「クリスマスツリー買おうか?」という気持ちに。
もしかしたら東京の暑い夏を越せないかもしれないと思ったけど、4000円の一番小さなモミの木を買った。
家に届いたモミの木は、プラスチックの鉢に仮植えされているけど、これから鉢を選んで植え付けてあげようと思う。
その後に、ふたりでクリスマスツリーオーナメントを選んで、飾り付けをするのだ。
家にモミの木がやって来たおかげで、クリスマスまでの三週間、温かい気持ちでいられそうだ。

金木犀。

朝、窓を開けると、ふわ〜〜っと甘い香りに包まれた。
それは、隣の家の金木犀だった。
ほんの数日前には、まだ蕾のような粒が枝に着いていただけで、Kとふたり、「まだだね…」と話していたのだった。
金木犀は、中国から渡って来た植物だけど、この9月の終わりに町を歩いていると、至るところでその芳しい香りがどこからともなくやって来て、どこに金木犀があるのかついつい探してしまう。
トイレの芳香剤と似ているとバカにする人がいるけど、自然の金木犀をぜひ一度嗅いでみて欲しい。
いくら嗅いでも飽きることはなく、深呼吸したくなるような豊かな香りも、2週間後にはもう嗅ぐこともできないだろうから。
日頃は目にとまることもないのに、一年に一度だけ、全身を使ってあたり一面に甘い香りを振りまいて、数週間と経たぬうちに忘れ去られてしまう金木犀を、なんとも愛おしいと思う。