マリーゴールド。

シルバー・カーディナルという珍しいヨーロッパのカエデを買ったら、
配送されて来た段ボールの中に、マリーゴールドが一つ、
光輝くように添えられていた。
黄色とオレンジの間の色は、なぜか今、僕が一番好きな色だ。
金額にすると、大したことではないのだろうけど、
こういう心遣いは、時にとてもやさしく感じられる。
箱から出した、小さなマリーゴールドは、
陽だまりのように温かい。

多肉植物。

すべて違う個性の多肉植物たち。

今日咲いたオールドローズ『マダム・アルディ』蕾の萼の先まで美しく、気品に溢れる香り。

北欧のARABIA社のプランターセットが、ちょうど空いたので、小さな多肉植物を、5個買って来た。(多肉植物用の培養土が無いのでまだ植えてはいない)
サボテンやリュウゼツランなどの多肉植物には、感情があるということが、嘘発見器や数々の実験で証明されている。
食虫植物がいることや、自分に危害を加える動物などから身を守り、進化を遂げて来たことを考えると、植物にも感情があることは当たり前のような気もする。
さて、多肉植物に限らず、植物を育てる上で一番難しいことは、実は、水やりだ。植物は、その種類により、それぞれ水の必要な量と頻度が違うのだ。園芸王国のイギリスでは、『水やり3年』などとも言われている。
たとえば、多肉植物は、夏と冬は水を月に一回くらい。春と秋はもっと水を欲しがる。というように、季節によっても違うのだ。
植物を枯らす一番の原因は、水のあげすぎか、あげなすぎか、またはその両方。
人間が日々の生活の中で、いつも変わらずに植物のことを、きちんとケアしてあげるということがいかに難しいことかと思う。
そしてこれは、植物だけに限らず、人とのつきあいにおいても、いつも変わらずに相手のことを思いやることが出来なければ、二人の関係性を続けてゆくことは難しい。
植物を育てていると、『過ぎたるは猶及ばざるが如し』という言葉が、つくづく奥の深い言葉だと、改めて思い知る。

心の周期。

ピエール・ド・ロンサール

白万重(クレマチス)

マダム・アルフレッド・カリエール

長い冬を越え、春の光を浴びながら、バラの花が開き始めた。
最近、日々の暮らしを注意していて気がついたことなのだけれども、心はいつも、萎んだり、膨らんだりを繰り返しているのではないだろうか。
一日の内でも、外的状況の捉え方によって微妙に変化しながら、大きくは、その一日一日が違うように感じられる。
そして、これは僕の仮説なのだけど、それには周期があって、だいたい9日間で一周するように感じられる。
まだ、それ以上引いて考えられていないのだけど、9日間という周期を、更に大きく捉えて、春夏秋冬のように波を見つけることも出来るかもしれない。
植物が芽を出し、蕾をつけ、花開き、萎み、花が枯れ、葉が枯れるように、人間も日々、宇宙の法則に従って、少しずつ変化をしているのかもしれない。
9日間という周期が仮にあるとすると、たとえ酷く落ち込み萎んでしまったとしても、またゆっくりと変化を遂げて、膨らみ始める日が来ることをわかっていたら、それだけでちょっと心も安らげるのではないだろうか。

神様のマジック。

年末に買った球根のアマリリスがようやく咲きはじめた。
いつもは、11月頃に買って、コップの水につけるのだけど、
今回は遅かったので開花もちょっと遅くなった。
水と光だけなのに、どうしてこんな花が咲くのだろうか。
神様のマジックとしか思えない。

forget me not

洗濯が好きだ。
よほどの雨でもない限り、ほとんど毎朝洗濯をする。
潔癖性ではないのだけど、どうやら、洗濯物籠の中に、洗っていない物が入っているのが気になるみたい。
パジャマも、ピローケースも、シーツも、ベッドで肌に触れる物はすべてリネンなので、洗濯するとすぐに乾くし、洗いたてのリネンの心地よさを想像したら、洗濯したくてうずうずする。
陽の光を浴びながら、洗濯物を干す時は、なんとも言えない幸福を感じる。
洗濯の合間に、ベランダの植物の具合をチェックする。この時期は、成長のスピードが早く、毎朝何かしら新しい発見がある。
この所の寒さのせいで、バラの開花が遅れているけど、ようやく花びらが微かに覗き出した。クレマチスも、バラと足並みを揃えるかのように、花びらが見え始めた。
ジューンベリーの足元に、ひっそりと咲いている忘れな草を見つめた。英名は、forget me not その名前ゆえ、広く愛されている花。
誰かのことを、忘れていないだろうか…

なんじゃもんじゃの木。

桜が終わると、外苑では雪を思わせるような真っ白な
『なんじゃもんじゃの木』が咲き始める。
高校の頃から、外苑の道の所々で見かけていたけど、
この植物は、あまり他で見るケースは少ないように思う。
調べてみると、この「ひとつばたご」という名前の植物が、
なんじゃもんじゃと名付けられた由来が、
この外苑のなんじゃもんじゃの木だったらしい。
鮮やかな緑に、プロペラ型の白い花をたくさん咲かせ、
間もなくすると、辺り中に花びらを、真っ白な雪が降るように散らす。
伊豆の修善寺にも、
確か大きななんじゃもんじゃの木があったように思うけど、
この花でさえ、咲いているのはきっと2週間あるかないか。
季節はとどまることなく、流れ続けている。
ゆく春も、夏の気配も、見逃すことのないように。

good gardener is always praying

バラの蕾が姿を現し、日毎に量感を増して来た。
「good gardener is always praying」
という諺がイギリスにある。
真の園芸家は、
いつもいつも祈っていると言われている。
この時期の植物の日々の変化は著しい。
鋭い棘を露わにしていたほとんど裸の木から、
香しいバラの花が姿を表すことを見ても、
この世界の不思議な力を感じずにはいられない。

花の命。

ジューンベリーが咲きはじめた

雨に打たれ、桜が散ってゆく。
花びらは、色を失い、葉が見え始めた。
家に木の花が欲しいけど、何がいいと思う?と聞かれることがある。つる薔薇で家を覆いたいと言われたり、枝垂桜を家でたわわに咲かせたいと言われたり…
でも、花の命は、長くて二週間と言われている。どんなに好きな花でも、二週間したら、花を散らし、見向きもされないような葉っぱだけの姿になる。
僕は、一年間の残りの350日を、花のない姿を眺めて暮らすより、一年中、美しい葉や幹を楽しむ方がいいのではないかと答える。
一年間を通して、美しい姿を見せる樹木をあげると、ジューンベリーなどどうだろうか?
ジューンベリーは、別名アメリカザイフリボク。桜が終わる頃に、桜より細く白い花を枝いっぱいに咲かせる。その後の芽だしの新緑も美しい。
やがて六月を迎える頃、赤い小さな実をつける。だから、ジューンベリー。甘酸っぱい実は鳥の大好物だ。
夏には、美しい葉を風に揺らせ、秋には黄金と思わせる紅葉があり、裸になった冬の株立ちの姿も、自分一人だけで、森を感じさせるような野趣に溢れている。
桜が終わる今頃、僕のベランダでも、桜に似た白い花が一斉に咲きはじめた。風に揺れているその姿は、桜のように退廃的ではないものの、清楚な美しさを秘めている。
一年のうちに、炎のように胸を焦がす二週間限りの恋愛もいいけど、一年を通じて飽きずにいつもそばにいられるような、そんな恋愛もいいと思う。今は。

幸せの青い花。

東京では、数日前から桜が咲き始めている。この頃は、胸がドキドキして、居ても立っても居られない。バジルなど寒さが苦手な植物を植えるのも、桜が咲き出すこの頃。
昨日は、帰りに東急本店の屋上に寄って、草花を買って帰って来た。
ベランダのシンボルツリーであるジューンベリーは、桜よりほんの少し遅く開花するけど、足元にいつもその時期の草花を植えている。
今年は、先日このブログであげたように、世の中では数が少ない青い花を数種類植えてみた。ホワイトガーデンというのはよくあるけど、言うなれば、ブルーガーデン。
左上から時計周りに、
ミヤマホタルカズラ
斑入りのブルーデージー
プルモナリア
ネモフィラ
忘れな草
矮性の矢車草
真ん中に、青い色が引き立つように、補色である黄色のナスタチウムを。この花は、食用にも出来る太陽の恋人のような花。春の陽射しを存分に浴びて、primaveraを体現しているかのようだ。
草花をいくつか2千円くらい買っただけで、こんなに幸福な気持ちになれるから不思議だ。陽射しを受けながら、土をいじるだけで身体中が喜んでいるのがわかる。
Kは、四月の初めに、本来なら桜が咲いているだろう…と思って、はりきって東京に来るのだけど、その頃は、ソメイヨシノは跡形もなく散っていて、八重桜が咲いているくらいだろうか…。
かわいそうなKのために、幸せの青い花を植えた。その時までに、綺麗に育っていてくれたら、うれしいなぁ。
この写真をKに送ったら、朝方まで飲んでいたので気持ちが悪いと言って、LINEでゲロを吐いている坊主のイラストが送られて来た。本当に、困った子だ。

アンデスの青い宝石。

昨日、いつも立ち寄る外苑西のFUGA http://www.fuga-tokyo.com/で、驚くほど青い花を見つけた。花の名前は「テコフィレア」。
世界には、青い花は実はとても種類が少ない。それゆえに人間は青い花に憧れ、青い花を改良するために長い間様々な研究を続けている。
デルフィニウム、ネモフィラ、セージ、ゼラニウム、ツユクサ、西洋アサガオなどは、鮮やかな青色が見られるけど、忘れな草など、紫がかった青色が比較的多い。
南米原産のこの花は、改良するまでもなく真っ青な色をしている。寒さに弱いので、もしかしたら次の冬は越せないかもしれないけど、ほんのひととき、神秘的な色を見つめていることができる。
こんな花を見ていると、まだ行ったことのない南米の、いったいどんなところに群生していたのだろうかと、色々と想像を巡らせてしまう。
☆テコフィレア http://www6.plala.or.jp/orchidplace/Tecophilaea.html
「アンデスの青い宝石」と呼ばれ、 乱獲により約80年前に自生地は絶滅した幻の花。現在、英国に保存されていた個体を元に、自生地復元の動きが出ている世界的な貴重種。