花の命。

ジューンベリーが咲きはじめた

雨に打たれ、桜が散ってゆく。
花びらは、色を失い、葉が見え始めた。
家に木の花が欲しいけど、何がいいと思う?と聞かれることがある。つる薔薇で家を覆いたいと言われたり、枝垂桜を家でたわわに咲かせたいと言われたり…
でも、花の命は、長くて二週間と言われている。どんなに好きな花でも、二週間したら、花を散らし、見向きもされないような葉っぱだけの姿になる。
僕は、一年間の残りの350日を、花のない姿を眺めて暮らすより、一年中、美しい葉や幹を楽しむ方がいいのではないかと答える。
一年間を通して、美しい姿を見せる樹木をあげると、ジューンベリーなどどうだろうか?
ジューンベリーは、別名アメリカザイフリボク。桜が終わる頃に、桜より細く白い花を枝いっぱいに咲かせる。その後の芽だしの新緑も美しい。
やがて六月を迎える頃、赤い小さな実をつける。だから、ジューンベリー。甘酸っぱい実は鳥の大好物だ。
夏には、美しい葉を風に揺らせ、秋には黄金と思わせる紅葉があり、裸になった冬の株立ちの姿も、自分一人だけで、森を感じさせるような野趣に溢れている。
桜が終わる今頃、僕のベランダでも、桜に似た白い花が一斉に咲きはじめた。風に揺れているその姿は、桜のように退廃的ではないものの、清楚な美しさを秘めている。
一年のうちに、炎のように胸を焦がす二週間限りの恋愛もいいけど、一年を通じて飽きずにいつもそばにいられるような、そんな恋愛もいいと思う。今は。

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