助っ人現る。

家のリフォームで様々な業者さんにお世話になった。

残念ながら全ての業者さんが素晴らしかったかというとそうではなくて、大工さんは職人気質で見積もりが雑で、後で金額を変更してきたり、電気屋さんとうまくコミュニケーションが取れず冷戦のようになってしまった。

電気屋さんは電気屋さんで、宮古島の気のいいおじいなのだけど、仕事があまりにも雑で、作業をしながら要らなくなった基盤やら電線やら管やらをどこにでもポイポイ捨てる人。エアコンの穴を壁に開けた時には主電源まで切断してしまって、その後家の外の壁に太い電線を這わせるというので揉めたのだった。

電気屋さんには言われた金額を全てお支払いしたのだけど、実際には電気工事は終わっておらず、アンペアを上げるのと各部屋できちんと電気が行き届くように配電盤を新たに敷き直す必要があった。

今までの電気屋さんには作業的にもう無理なのと、このままでは家が壊されてしまうと思った僕たちはまともな電気屋さんを探し続けていた。

宮古島に引っ越す時から相談に乗ってもらっている宿のオーナーにも相談したし、水道屋さんにも相談した。

2人ともあまりいい返事がなかったのでどうしようかと困っていたところ、平良にある雑貨屋さん「アトリエ和毛」でいい電気屋さんがいると紹介してもらったのだった。

電話をするとすぐにその日に家に来てくれて、今までの経緯をお話しした。

「なんでこんな電気工事やっちゃったんですか?」

雑な電気配線を見ながら新しい電気屋さんは僕に聞いた。

僕たちの希望を細かく説明して、車庫にも電気を引きたいことや、宿の部屋で電気を思う存分使えるようにしたいことなどお願いして快諾してもらえた。

頼もしい援軍が現れて、Kと2人心底ホッとしたのだ。

いい業者さんもいるし、悪い業者さんもいる。だけど、いい人さんは必ずいい業者さんに繋がっている。

狭い島で暮らすためには、人の紹介がいかに重要かを身をもって学んだのだ。

和風亭

海がいるので滅多に外食をしない僕たちだけど、今日は海をトリミングに預けたので久しぶりに外食をすることにした。

「和風亭」はスーパーのサンエイがやっているレストランで、以前は平良の町中にあったのが、今回新しく出来た「宮古シティ」という空港近くのショッピングモールに移転した。

釜飯からトンカツ、鰻、お寿司、お蕎麦など、和食らしいものは大抵あって、茶碗蒸しなんかもある。

宮古島に住んでいても、時々こんな和食メニューが食べられるって、それだけでほんと幸せなことだ。

⭐️和風亭 宮古島シティ店
0980-73-8811
沖縄県宮古島市平良下里南真久底2511-43 サンエー宮古島シティ
https://tabelog.com/okinawa/A4705/A470503/47029079/

裏の畑のおばさん。

僕たちの家の裏には畑があって、元々の家の持ち主の子どもたちがそこで野菜を作っている。

僕が庭仕事を終えてシャワーを浴びていたら、その裏の畑を持っているおばさんが家にやってきた。

「こんにちは。先日はお菓子ありがとうございました。パンを買ってきたので召し上がってください」

僕が東京に行った際にご家族にお菓子を買ってきたのを受け取ったようだった。

おばさんはその後、懐かしそうに我が家の庭の花々を見ながら少し散歩していた。

昔子どもの頃この家で家族そろって過ごしていた幸せな日々を思い出しているようだった。

「このバジルすごい元気ですね!父がここにバジルを植えていたんです。全くおんなじだから驚きました」

「ドアが青くて綺麗ですね。父が青が好きで、実はあの雨戸や戸も全部水色に塗っていたんですよ…ほんと、一緒の青だから驚いているんです」

僕たちの家は青をテーマにした建物で、これから窓枠や戸を青い色に塗っていこうとしているところ。

亡くなったお父さんが青色が好きだったようで、偶然なのかわからないけれども同じ場所を僕たちが青色に塗り直そうとしている名を聞いて、おばさんは本当に不思議がっていた。

「お花がこれだけ咲いているのも昔の我が家のようでびっくりしてるんです。きっと亡くなった父も喜んでいると思います」

おばさんはしばらく庭を眺めた後に、満足げに帰って行った。

リッコジェラート

宮古島で最も有名なジェラート屋さんは、平良にある「リッコジェラート」。

時々ジェラートが食べたくなった時に食べに行く。

イタリアのジェラートのように量がないし、その割に高いと思うのだけど、他にないからしょうがない。

イタリアの田舎町では夕方になると、誰もが町の広場に繰り出しては、パッセジャータという散歩をしながらのんびりとした時間を過ごす。

町にはこれといった娯楽施設もないから、広場に出て行ったり来たりしながら、時々知り合いに会ったら立ち話をして過ごすのだ。

そんな時に子どもたちだけでなくおじさんおばさん、お婆さんやお爺さんもジェラートを美味しそうに食べていたのを思い出す。

宮古島で、美味しいジェラート屋さんをやるというのもいいかもしれないな。

⭐️リッコジェラート
0980-73-8513
沖縄県宮古島市平良字下里550
https://tabelog.com/okinawa/A4705/A470503/47007314/

ハイビスカス

家には赤い小さめの花のハイビスカスが咲いているけど、宮古島の町の至るところにハイビスカスが咲いている。

ハイビスカスといえばなぜかハワイの花と思ってしまうけど、沖縄の気候も合っているのだろう。


ハイビスカスの花は見れば見るほど作り物みたいに見える。

この不自然なまでの自然美を、不思議な気持ちで眺めてしまうのだ。

神様はなんでこんなに美しい花を作ったのだろうかと。

バタフライピー

バタフライピーのことは先日ここに書いた。

あれからバタフライピーの青い花は毎日咲いているので、花を摘んで食べてみた。

真っ青な花はサラダに乗せるだけで雰囲気が変わる。

たった1日しか咲かない花を摘んでも、明日になればまた沢山の花が咲いていた。

これはお客さんの朝食にもいいかもしれないな。

ペンキ塗り。

いよいよ本格的に家のペンキ塗りをはじまった。

まずは午前中日陰になる西側の壁から塗ることに。

宮古島は日中32度くらいの高温が続いているので、太陽が直接当たる時間帯に外で作業をするのはなるべく避けたいところ。

8時過ぎに作業をはじめて、10時にはもう汗だくでのどはカラカラになる。

それでもKとふたりで話し合いながらマスキングをしてシーラーを塗っていると、性格の違いが出て笑ってしまう。

Kは几帳面で細かいところを隈なくやっていくタイプなので、この家全体を塗り終えるまでにどれくらい時間がかかるのかを想像してぐったりしてしまう。

僕は大雑把な性格なので、大きなローラーでぐんぐん塗っていく。細かな場所は後で気が向いた時に集中攻撃をすればいいではないかと。

透明なシーラーを使っていた時はイマイチやっている感が湧かなかったけど、白いペンキを塗りはじめたらKが急に元気になった。

これから1ヶ月くらいでペンキ塗りをなんとか終えるつもり。

はじめてのペンキ塗りは思いの外たいへんだけど、Kとふたりで試行錯誤しながら、なんとか進んでいくさまは面白いと思える。

宮古島へ帰る。

朝7時前の羽田空港から宮古島へ帰ってきた。

9時45分頃降り立った宮古空港には、Kと海が待っていた。

東京にあるような美味しいレストランもないし、洋服屋さんもないし、世界中の食材が買えるスーパーもないし、お洒落な雑貨屋さんもない。

それでもさとうきび畑の中を車で走りながら遠くに海が見えると、ここが世界で一番素敵な場所だと思える。

愛する家族が暮らす美しいこの島が、今僕が暮らしているHOMEなのだ。

徳秋

友人が、「お蕎麦が食べられるゲイバー があるから行ってみない?」というので、新宿三丁目にある「徳秋」へ。

メニューはカジュアルな懐石風コースになっていて、これに日本酒を料理に合わせて出してもらう。

お料理は甘くなく酒飲みには嬉しい味付け。日本酒も品揃えが豊富でどれも味わい深い。


お蕎麦は少し太めだったがとても美味しかった。

3年以上前に僕はこの「徳秋」に時々お蕎麦を食べに行っていたのだけど、ゲイバーだとは知らなかった…

それをマスターに言うと「ここは蕎麦屋であってゲイバー ではありません」と大笑いしていた。

こんな店がそばにあるなんていいな。

SO BAR 徳秋http://naruaki.love/

サトウキビ畑のマッチョ。

東京に住んでいた頃は、電車の中や通りを歩いている時、伊勢丹で買い物している時なんかに、ふといい男を見つけて心が動くということが時々あったものだ。

僕たちゲイにとってはそんなことが日々の中のちょっとした愉しみであったりするものだ。

宮古島に来てそれはほとんど完全になくなった。

というか、僕たちの住んでいる地域はサトウキビ畑に囲まれているので、海の散歩をしていても農家のおじいやおばあと挨拶や話をするくらいでおよそタイプの男を目にする機会はなくなった。

それでも近くに自衛隊の宿舎があるので、運が良ければ汗だくでジョギングする自衛隊の男たちを見かける日もある。

先日いつものように朝6時半頃、海を連れてサトウキビ畑の中を散歩していて、ふと道を右に曲がった時のこと、数十メートル先にいきなり若いマッチョの男がタンクトップを着て歩いてくるのが見えた。

僕は朝早かったのと眠かったせいもあり、これは自分の頭の中で起こった妄想なのではないかと思ったほど、サトウキビ畑の中ではおよそ起こり得ないシチュエーションに胸がザワザワした。

僕は男に反応する海のリードを短く持つと男が挨拶をして来た。

「かわいい犬ですね…大きいですねー」

「人が好きですぐに近寄って行っちゃうんです…」

日に焼けた盛り上がった肩といい、太い腕といい、見た目は200%ゲイではないか。顔は宮古島の顔で二重パッチリ、年は30代はじめくらいだろうか。

向こうも一瞬で僕がゲイだとわかったに違いない。

ゲイには生まれながらの立派なゲイダーが備わっているのだ。

僕は、油断をして寝癖をつけたまま、夜寝ていたままのTシャツを着ていた自分を悔しがった。

また会えるかな?サトウキビ畑の中のマッチョ。

それにしても朝っぱらからあんなところで何していたんだろう?