朝、とても気持ちが良かったので久しぶりに与那覇前浜まで海を連れて散歩にいったのだ。
与那覇前浜は東洋一とも言われる美しい白い砂浜が広がるビーチ。
夏の間は観光客に溢れかえるのだけど、朝方はめっきり人も減って静かな海辺を独り占めできる。
海と散歩を始めると、すぐに少女が駆け寄ってきた。
小学2年生くらいの少女は、お父さんと一緒にこの海岸に釣りに連れて来られたという。
海のことをはじめは大きさに驚いていたのだけど、すぐに仲良しになっておかけっこをして遊び出す。
一緒に砂浜を歩いていると、少女の家でもワンちゃんを飼っていることがわかった。
ミニチュアピンシャーの雄で、今は3歳くらい。
お父さんがケージを作ってくれて今はその中で暮らしているとのこと。
「でも、言うことを聞かないことがあるから、その時はお母さんがスリッパで叩きなさいって教えてくれたの」
僕はびっくりして聞き返す。「え?ワンちゃんをスリッパで叩くの?」
「うん。しょっちゅうイタズラするから、お母さんは孫の手で叩いてる」
「あのね・・・ワンちゃんも人間と一緒なんだよ。絶対に叩いたりしちゃダメだよ。叩かれたら痛いでしょ。ワンちゃんもおんなじなんだから。絶対に叩いちゃダメ。そうお母さんに言ってあげて」
僕は人の家のことだと知りながら、いてもたってもいられなくなった。
その犬が叩かれ続けることによって、いつか自分の身を守るために牙を向くこともあるかもしれない。何よりも、完全に動物虐待ではないか。
今度会ったらワンちゃんはどうなったか聞こうと思う。どうか、ひどい状態になっていませんように。