冬の熱海。

冬の熱海には来たことがなかったから、どんな感じなのか知らなかった。

住んでみて分かったことは、夏ほどではないにしても観光客も普通にいるし、町中はコロナ禍であってもあまり変わらない。観光客はなぜか若者ばかり。

それでも町を走っていて時々見える海は、人気がなく水も澄んでいて綺麗に見える。

熱海に住んでよかったことは、こうして時々海が見えるということ。海が見えるだけで、心が安らぐ。

地魚が美味しく、函南や三島方面などの野菜も水が綺麗なため美味しい。

有名な来宮にある梅園も、実は12月から紅梅が咲き始めていて、白梅もちらほら咲き始めた。

熱海の春は、もうすぐそこまで来ている。

Kの実家からの鰤。

年末になると毎年、Kの実家から鰤が送られてくる。

鰤は巨大なものではないけど、60センチから70センチくらいの鰤が解体されていてアラも入っている。

海を除くと僕たちは二人暮らしなので、これだけの鰤を食べるには工夫が必要で、発泡スチロールの箱を開けるや否や、これは刺身に、これは塩鰤に、これは照り焼きに、これは鰤大根にと振り分けて、すぐに下処理を済ませる。

Kのご両親が、遠く離れて暮らすKのことを大切に思い、まだ会ったことのない息子の恋人である僕のことを、気遣ってくれているのがわかる。

今年はKの実家に、高島屋のおせちを送った。

まだ会ったことのないKのご両親が、少しでも喜んでくれますように。

あけまして ありがとう ございます

年末に帯状疱疹にかかり、左側頭部のあちこちが痛む中、それでも無事に新しい年を迎えることができました。

例年のようにおせち料理は沢山作ることが出来なかったのですが、お雑煮、黒豆、数の子、たたきごぼう、栗きんとんを作っていただきました。

2021年はどんな年になるのか。一日も早く、みなさんに普通の暮らしが戻りますように。

あけまして ありがとう ございます。
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

三人で過ごす大晦日。

僕たちの家にはテレビがないので、Kが車からナビを外して来て、家で小さなテレビを見れるようにした。

僕は「帯状疱疹」のため、おせち料理も作らないと決めていたのに、やはりほんの少しはおせちが食べたいと思い、たたきごぼうと黒豆と数の子と栗きんとんは作りながら時々テレビに目をやる。

海はソファの下で、僕のセーターを乗せて眠っている。

伊勢丹で買った手編みのセーターが海のものに。

テレビが好きなKは、時々声をあげて笑っている。

やがてKの大分の実家から、鰤が送られて来た。

お酒を飲みながら三人で見る紅白歌合戦。

幸せは、今ここにある。

海、2回目のワクチン。

今日は海にとって、2回目のワクチン接種の日。

Kと二人で熱海ではなく、函南の動物病院に車で連れて行った。

動物病院には、猫も来るし大きなゴールデンレトリバーものしのし歩いて入って来て、クレートの中の海は初めて見る猫や大型犬に怯えていた。

耳の中の毛をむしりとることや、おちんちん周りの毛の処理、今後の去勢手術のことなどを聞いて安心して病院を後にする。去勢手術に関しては、もっと調べてみないとな・・・。

函南は、三島の手前の町なのだけど、野菜が安く正月前に野菜を買い込んだ。大きな白菜や小松菜、どれも100円。びっくりするくらい野菜を買っても、850円でびっくりした。

家に帰って来たら、ワクチンで疲れたのか、海は寝てばかりいた。

海を抱きかかえるK。

ここ数日は、海とずっと一緒に過ごすことができたのだけど、28日だけは最後の仕事納めで東京に行かなければならず、Kも最後の病院勤めに行かなければならず、海を7時間くらい一人にしなければならなかった。

11時に家を出る時に海は鳴いていたけど、バスに乗り遅れないように急いで出かけた。東京での編集作業が終わって、帰りの新幹線に飛び乗り、しばらくして先に帰ったKから電話が入ったときには心臓が止まるかと思った。電話があるなんて、海に何かあったのかと思ったのだ。

K「海、またうんちまみれになっちゃった・・・」

僕「よかった・・・元気でいてくれたらいいよ。帰ったら僕が洗うから」

K「海、かわいそう。ずっとひとりぼっちで・・・生まれてまだ2ヶ月なのに・・・」

僕「うん・・・でも少しずつ慣れていけたらいいね・・・」

タクシーで家に帰ってリビングのドアを開けると、Kがパンツ一丁で濡れてまだ乾いていない海を抱えてうずくまっていた。

僕「どうしたの?大丈夫?」

K「海、かわいそう・・・」

僕「大丈夫だよ。海は僕たちがいつか帰ってくること、そのうち学んで耐えられるようになるから」

ケージの中は、うんちを踏んだ足で走り回ったのか、そこらじゅうにウンチがつけられているので、シートやおもちゃを持って僕はそのままお風呂場へ行き、汚れを洗い流す。シートを干して、おもちゃを拭いて、リビングに戻ると、Kも少し元気が戻って来た。

海は帰って来た僕に精一杯の歓迎のしっぽを振ってくれる。海にとってもショックだったのだろうけど、Kにとってもショックだったのだろう。犬を飼うのが初めてのKはいろいろと驚くことばかりのようだ。海をひとりぼっちにさせてしまって、自分を責めているようにも見えた。

海も、少しずつ学んでいってくれると思う。

そして僕たちも、ゆっくりと成長していくことができれば・・・と思ったのだ。

海と海辺をお散歩。

スタンダードプードルの海が家に来て、2週間が経った。

海はまだ2回目のワクチンが終わっていないため外を散歩させることはできないのだけど、家の中以外の外の世界に触れさせることも大切なようで、今日は海を連れて熱海の海辺を抱っこしながら散歩した。

海は家にばかりいたのでかなり内弁慶になっていて、車を見たり、人を見ながらちょっと緊張しているのがわかる。カモメの声に驚いたり、子どもの声や元気に走る様を興味津々で見ていた。

海が家に来て思うことは、僕とKに海と言う赤ちゃんが加わり、生活が一変したと言うこと。

おしっこやうんこの始末、朝方早起きして鳴き出す海をなだめること、甘噛みしまくったり噛んで欲しくないものを噛んだりするのをどうやっておもちゃに差し替えるかなど、明らかに自分たちの時間の多くが海との時間に割かれている。

手がかかるし面倒臭いと思うこともたくさんあるけど、海が家族に加わって、今までは自分たちのことばかりだった僕たち二人も、確実に成長している気がするのだ。

原因不明の病。

あまりないことなのだけど、一昨日から左下の歯が痛くて、詰めたところが取れたのかと思い、歯科医の予約を取ろうと電話をしていた。

昨日は左側の耳を押さえると痛く、おまけに左側後頭部も時折り痛く、下顎周りも変な違和感を感じていた。

家に帰って僕の顔を見たKは、「変なニキビが口の周りに出来ている」と言うので、鏡を見るとニキビのようなものがいくつか出来ていた。

翌朝、耳の奥の痛みと頭痛が治らないので、原因は歯なのではないかと思い、熱海の歯科医を訪れるも、虫歯はないし歯が原因ではないと言われた。

午前の診療が終わりそうな大学病院に電話をかけて、耳鼻科の予約をなんとか取り付けタクシーで向かう。

耳鼻科の先生に見てもらうや否や、「これは皮膚科だ。すぐに皮膚科に電話して!」と。皮膚科に回されて判明したのは、どうやら病気は、「帯状疱疹」とのこと。

「すぐに入院していただきたい」と言われるも、来週月曜日の編集は休めないのでなんとか入院はせずに治せないかと相談する。

ウイルスを抑える飲み薬と痛み止めをもらって帰り、家に着いたら力が抜けてしまった。

「帯状疱疹」とは、昔やった水疱瘡のウイルスが未だに身体の中に残っていて、免疫力が落ちて来た時に再び身体の表面に出て来て神経を刺激する病気らしい。

40歳以上が圧倒的に多く、80歳になると三人に一人は帯状疱疹の経験者だそうだ。

この一年、身体的にも精神的にもとてもしんどかつたので、ここへ来て免疫力が落ちてしまっていたのだと思う。

まもなく年末になることもあり、今年の年末はゆっくり過ごすようにと神様がはからってくれたのかもしれない。

仕事から帰って来たKは、心配そうに僕の顔を何度も覗き込んでいた。

ひとりの誕生日。

誕生日はほとんどいつもKと一緒に過ごして来たのに、今年は離れ離れで過ごさなくてはいけなくなってしまった。

僕の仕事の撮影が22日23日と早朝から続けてあるため、21日の夜から東京に泊まらなければならなくなったのだ。

21日は家でのんびり晩ごはんを食べた後、Kが8時半頃車で熱海駅まで送ってくれた。

東京について外苑前のホテルに行くも、どこにも行く気にはなれずにそのままホテルで寝てしまい、誕生日は早朝から撮影をしたのち、新宿のホテルに到着。

久しぶりに「ぺんぺん草」に顔を出すも、すぐに退散。

ホテルに帰ってKとやり取りしながら、海が今どうしているかばかり気になってしまう。明日は僕が帰るまで、海は今までの最長時間のお留守番をしなければならない。

Kが海と一緒に誕生日祝いのビデオを撮って送ってくれた。

ビデオを見ながら、早く帰りたいなぁと思う。

たった2泊離れただけで、堪らなく会いたくなってしまうのは、海よりも僕が家族離れ出来ていないようだ。

海に試される。

生後2ヶ月くらいの犬は、甘噛みやいたずらが酷く、目の前のもの手当たり次第に口に入れたり噛んだりし続けている。

犬には、善悪の区別もないし、高いソファや家具など知るはずもない。

目に入るものはすべておもちゃのように見えて、好奇心のまま噛みつきにいく。

犬を育てる上で、怒ってはいけないというのがある。たとえ間違った場所におしっこをしたとしても、それを怒ったところで犬にはなぜ怒られているのか意味がわからないからだ。


でも、そんなことは分かっているつもりでいても、こう手当たり次第にソファのカバーにいたずらに噛み付く姿を見ていたら、「海!NO!」と叫んでしまった。

海は、急に怒った僕の顔を不思議そうに見ているだけで、そんな海を怒ってしまった自分の心の小ささにいやなきもちになる。

「犬には、良いも悪いも区別がつかないのだ」

そう思いながら、海によって自分の心の小ささが試されているような気になったのだ。