台風は、庭の一番大きく育っていたバナナの木を薙ぎ倒して行った。
海の塩分を多く含んだ雨は植物の葉を茶色に枯らし、強い風は全ての葉っぱを根こそぎ吹き飛ばしていった。
台風の前は、家の庭が天国のように多様な花々が咲き乱れていたのだ。
でも台風が去った後の庭は一体どこから手をつければいいのかわからないくらいに荒れ果てていた。
でもそんな中、急に咲き始めた花もある。
玉すだれという花で、球根になっていて自然に増殖する植物だ。
なぜだか宮古島のこの辺りに自然に生えていて、雨の後に真っ黄色の美しい花を咲かせる。
荒れて何もかもボロボロズタズタになった庭で、急に咲き始めた真っ黄色の美しい花を見て、小さな勇気をもらったような気持ちになったのだ。