愛と安らぎと笑い。

太陽は、昨年の10月倉庫の裏の塀のところで鳴いていた。

小さな茶トラ猫がいたのでどこか他のところに行って欲しくて追い立てたのだけど、逃げることなくむしろ母屋の縁側の外に来て鳴き続けた。

太陽はたぶん家で飼われていたのだと思う。僕達にすり寄り甘えてくるのだ。しょうがなく家の中に入れて海が昔使っていたケージを組み立て中に入れた。

最初は食事はアグレッシブだし捨て猫のような野生味があったけど、一緒に暮らすうちに太陽はどんどん変わっていった。

今では僕たちの枕に丸まったり身体をピタッとつけて寝ているし、ソファにいても床にいてもすぐにそばに来て身体をつけて甘えてくる。

頭や顔を撫でてあげるとゴロゴロと音を立てて喜ぶ。猫は気持ちがいい時やリラックスしている時にゴロゴロ音を立てる。

トイレにいくとついてきて、中に入ってしばらくすると今度は「どこに行っちゃったの?」といった感じに鳴き出す。

トイレから出てくると安心したように身体を擦り付けてくる。

動物が生きていく上で一番大切なものは、食糧や水だ。

そして、同じように誰かに教えられたものではなく、彼らが自然と求めるものは、愛情なのだと思う。

親や兄妹、家族から愛情をたっぷりと与えられ見守られながらすくすく成長していく。

そして、誰に教えられたわけでもなく、僕たちに愛情を返してくれる。

太陽は時々寝ている僕の髪を舐めたり、顔を舐めることがある。顔を舐められた時は紙やすりで顔を擦られるような違和感に驚いてしまうのだけど、太陽からすれば愛情の表現なのだ。

この、3キロしかない(家に拾った当時は1.6キロ)愛すべき動物を、人間は簡単に捨ててしまう。

毎日毎日僕たちに愛と安らぎと笑いを与えてくれる宝物に気づかなかったなんて、かわいそうな人間だ。

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