公正証書遺言。

僕たちゲイカップルは、この国では結婚がまだ認められていないから、たとえば僕が病気や事故で倒れた時に、パートナーであるKを家族と認めるか認めないかは病院の判断によってしまう。また、僕が先に亡くなった時に、Kに遺産を残してあげることは出来ない。

こうした不安をすべて解消してくれるのは、今の法制度の中でやるのは「養子縁組」しかないのだけど、「公正証書遺言」を作っておくと、法的に遺産を残すことが出来る。

でも僕たちがそれを作るには、行政書士に頼んだら、公証役場に行って手続きをするため10万円から20万円近いお金が必要になるのだ。

男女の夫婦であればこんなお金もかからないし心配する必要もないものを、なぜ僕たちだけがこんな理不尽な目に遭わなければならないのか、本当のところ僕は納得がいかない。

でもどんな手を使ってでもKを守らなければならないと思ったら、お金を払ってでも公正証書を作っておいた方が良いかと思い、現在行政書士に相談をしているところ。

裁判での本人尋問においては、僕たちだけが公正証書を作らなければならないなんて平等ではないと言っていたのだけど、結局パートナーを守ることが出来なかったら、死んでも死に切れないではないか。

これからの若い人たちがこんな理不尽な目に遭わないためにも、一日でも早い同性婚の実現が必要なのだと思うのだ。

“公正証書遺言。” への4件の返信

  1. こんにちは。
    毎回ちゃんとお返事を書いていただきありがとうございます。

    今回のテーマは、僕らゲイカップルにとっては大きい問題ですね。
    僕らも同棲して20年経ちますので、そろそろ話題にしたい事柄です。

    それで、
    タダシさんが書いている「公正証書遺言」で公的に遺言書を作成し預ける(料金10万から20万円)とありますが、その方法と、
    自分で申請できる法務省の「自筆証書遺言書保管制度」(料金3900円)は、効力は同じなのでしょうか?
    令和2年7月10日に施行されたもので、少しは融通がきく世の中になったなと思っていました。

    1. 健太さん。こんにちは。
      同棲して20年なんてすごいですね!健太さんカップルはきっと宝物のような関係ですね!
      僕にも2つの違いがきちんと説明出来ないので、お世話になっている行政書士さんに聞いてみました。以下はその回答です。

      以下、ご質問に対する回答です。
      ≪自筆証書遺言の法務局保管制度≫
      1.遺言状の全文をご本人が自著する必要があります。(財産目録など一部は除く)
      2.法的な有効性など内容のチェックは受けられません。
      3.法務局から法定相続人全員に通知が行きます。
      4.本人が法務局に出頭する必要があります。
      5.遺言者の住所地、本籍地、不動産の所在地を管轄する法務局での保管となります。
      6.相続手続きを行うためには遺言書情報証明書を請求しなければならないが、その際に被相続人の出生から死亡までの連続する戸籍、住民票の除票、相続人全員の戸籍と住民票が必要となります。
      7.相続で揉めた際には公正証書遺言よりも確実性に欠ける。(内容の法的有効性、本人の自著であること、本人の意志・判断能力が担保されない)
      8.費用が安い
      ≪公正証書遺言≫
      1.基本的に自著の必要性がありません。
      2.法的有効性等内容のチェックが受けられます。
      3.相続開始が誰にも通知されません、
      4.公証人に出張してきてもらうことができます。
      5.遺言状は3通作成され、公証役場とあと2か所に保管可能です。
      6.相続開始後すぐに相続手続きを行えます。
      7.相続で揉めた際に確実性が高い(内容の法的有効性、本人が署名捺印していること、本人の意志・判断であることが担保される)
      8.費用が高い

      ≪私の見解≫
      ・遺言者様がお若くて判断能力も明晰な場合は自筆証書遺言でも良いかと思います。高齢の親御さんなどは全文自筆は負担が大きいです。
      ・相続人同士が揉める可能性がまずない、そもそも遺言状が無くても良いくらいであるという場合は自筆証書遺言でも良いかと思います。
      ・相続人(法定相続人)が1人だけ(配偶者のみもしくは子供一人のみ)の場合は自筆証書遺言でも良いかと思います。
      ・遺産は全額寄付などというケースで法定相続人全員が納得しておられる場合なども内容のチェックさえ受ければ自筆証書遺言でも良いかと思います。
      ・法定相続人以外の方に遺贈がある場合は公正証書遺言を強くお勧めします。
      ・お子様がおられない方については公正証書遺言をお勧めします。(兄弟や甥姪が相続人になり相続手続きが大変なことと揉めやすいため)
      ・再婚で前の奥様との間に子供さんがおられる場合も公正証書遺言が良いでしょう。
      ・事実婚の場合は公正証書遺言必須と考えます。
      ・意外と見落とされがちなのが6です。この部分は法務局保管制度を利用しない自筆証書遺言の場合(検認手続き)と同様
      の書類を集める必要があり、遡っての収集に相当の時間と手間がかかる場合があります。兄弟相続の場合は収集しなければならない
      書類も非常に多くなるため(被相続人の親の出生から死亡まで遡り、被相続人の兄弟全員の戸籍が必要となる)自筆証書遺言はお勧めできません。
      ・あまり大きな声では言えないのですが、相続発生の事実を知られたくない相続人がいる場合は公正証書遺言が役に立ちます。
      ・逆に、相続発生の事実を確実に法定相続人に知らせたい場合は法務局の保管制度の方が良いかと思います。
      以上です。

  2. 早急なお返事ありがとうございます。

    すごく分かりやすかたです。
    この「自筆証書遺言の法務局保管制度」ってのはなんだか、終活ブームの総まとめみたいな、「ちゃんと書いといたんだから、兄弟で揉めるなよ」っていう親の最後の愛情を形にできる制度かな。という印象を受けました。
    僕らのような、国からしたら想定外の家族では、抜け目ないくらい厳重に効力があるものでないとイザコザが起こり得るってことなんですね。厳重が故、書いてしまったら書き直すのも大変なんでしょうし。

    とても勉強になりました!

    1. 健太さん。
      我々だけなぜこんなに面倒でしかもお金を払って書類を用意しなければならないのか?そう思うとその不平等さと理不尽さに腹が立ちます。でも、年齢を重ねていく中でさまざまな不安やリスクを排除しようと思うとこのような手続きも自分達を守るために必要なのではないかと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です