夕方、門のところで海の散歩に出かけようとしていたら、向こうから野菜を買ったであろうおばちゃんが、電動車椅子で歩いて来た。
そして僕たちの家の前に差し掛かった時にこう言ったのだ。
「この花たち、ほんとにかわいいねえ…元気がもらえる」
不意に言われた言葉がうれしく、明るい気持ちになった。
県道の大木がなくなった場所に、勝手に自分たちで植えた小さな草花を、この道を通りかかったおばさんが誉めてくれるなんて、なんでうれしいことだろう。
花はなんの理由もなく咲いているのだけど、たったそれだけで周りの人に確かに力を与えてくれているのだ。