僕が会社を辞めて、Kも病院を辞めて、二人で宮古島に移住する話をKはご両親にはまだ話していなかった。
計画がだんだん進んできたからか、急にKが自宅に電話をすると言うのでどうなることやらと思いながら見守った。
Kが大分の大きな病院を辞めて、東京に出てくることを話したのはおよそ5年前。ご両親は大分で安定した仕事をしている末っ子のKを、いつまでも自分の身近にいるものと思っていたことだろう。
それが、急に仕事を辞めて東京に行く。しかも、自分はゲイで、東京に行って16歳も年上のおじさんと一緒に暮らす・・・なんて、大分のご両親からしたら相当な衝撃だったに違いない。
東京から熱海に引っ越した時はそれほど何も言わなかったご両親は、今回一体どんな反応をするだろうか?
僕「お母さん、何か言ってた?」
K「お母さんは意外にも大丈夫だった・・・」
僕「じゃあ、お父さんは???」
K「お父さんは、仕事辞めてそんな島に行って、無一文になって食べるものも困るような生活をするんじゃないか・・・って心配してた」
僕「そうだよね・・・心配するよね・・・Kちゃんはなんて言ったの?」
K「食べられなくなったら大分に帰るから大丈夫って言っといた」
そんな話をしながら笑ったのだけど、親はいつまでも子どものことを心配するに違いない。東京に行くと言った時も、Kがひもじい思いをするのではないかとお母さんは心配してしていたようだった。
将来のこと、数年後のことだって僕たちにもわからない。
でも、自分たちがワクワクすることを、二人と海で一緒にやろうと思っているのだ。
こんな子どものような僕たちの宮古島生活は、一体どうなるのだろうか?