パートナーシップについて思うこと。

僕は、物心ついた時から、好きになる人も興味の対象も男性だったのだけど、ハッキリとゲイを意識するようになって、それが自分ではもう変えることのできないものだと気づいてから、自分の将来を思い描く時にはいつも、兄のように結婚することはできないし、子どもたちに囲まれる幸せな家庭も築けない。このままひとりで生涯生きていかなくてはいけないんだ・・・と感じていた。

それに、当時の若いゲイにとっては出会いも限られていたし、性欲のコントロールもとても難しく、まわりの大抵の友人たちは、セックスをしては別れて、また新しい男と出会っては捨てられて・・・を繰り返していた。

そんな中で大学生の時に、新宿三丁目にある『タックスノット』というお店にいくようになり、そこではじめてマスターのひとりであるタックさんに出会って、『パートナーシップ』という人との付き合い方があるのを知ったのだった。

今であれば、パートナーシップという言葉自体はよく耳にするけど、その当時のゲイの間では、「男性同士が長いつきあいを続けていく」などという前例がなく、お手本になるような人たちも周りには全然いなかったのだ。

パートナーシップとは、お互いが寄り添い見つめ合っていた恋愛状態の先にあるもので、今度はふたりで同じ方向を見つめながら、少しずつ前に歩いていくことだ。調子の良い時はともに喜び、悪い時は共に協力して乗り越え、ふたりで日々努力をしながら関係性を続けていき、年月を重ねていくことでより強固で深い関係になってゆくもの。

ちなみに日本の古典的な夫婦のありようは、パートナーシップではなくて、夫がいて、妻や子どもは夫の所有物のような関係に近いのかもしれない。

もしも僕がタックスノットで、パートナーシップという考え方に出会わなかったら、今の僕はなかったと思う。そう考えるとちょっと怖くなるのだけど、51歳になった今でも、目をギラギラさせて、自分のタイプを探すことに毎日意識を集中して生きていたかもしれないのだ・・・(もちろんそういう生き方もありだと思うけど、ちょっと僕にはきついかな)

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