家で過ごす日曜日。

鴨には1.5%の塩を振り一晩冷蔵庫に。

鴨油の中で80度で1時間半。

ヒヤシンスは根本に触れる水につけダンボールに入れて外で寒さにあてる。

本当は、朝から日本橋に行って、『午前十時の映画祭』で『ウエストサイド物語』を観る予定だった。
その後、有楽町に移動してご飯を食べて、大好きなケン・ローチ監督の『家族を想うとき』を観る予定だったのだ。
でも、朝起きようとした時に、Kの様子がおかしく、朝ごはんを作ってもほとんど食べられないと言って僕の皿に固形物を戻してくる。顔色は真っ白で、具合が悪いのがわかる。
「Kちゃん、6連勤と昨日の忘年会で疲れちゃったんだよ。今日は、家でゆっくりしてようね」
「映画がもったいないから、ただしくんひとりで映画に行ってきてあげて」
「心配だから一緒にいるよ。ひとりで見ても面白くないよ」
そのままKは、ソファに倒れ込むように横になると、すやすやと眠りはじめた。
僕は、解凍して塩を振って一晩寝かせておいたシャラン鴨をコンフィにしたり、家のたまった本を選別したり、ベランダの掃除をしたり、植物を植え替えたり、ヒヤシンス の球根の水耕栽培をはじめたりしながら過ごした。
夕方になってようやく顔色も良くなってきて、食欲も出はじめてほっとしたのだけど、日曜日は家から一歩も外に出かけることはなかった。
病院の仕事は朝から晩までで、お昼ご飯を食べる時くらいしか休みもなく、6連勤ともなればかなり疲れるのだろう。
いつもの出かけてばかりの日曜日ではなく、こうして家でゆっくり一緒にいられた日曜日も、それはそれでとても充実していたと思える。

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