桃。

晩ご飯を食べた後に、家にあった「ぶどうと桃を食べようか?」と僕が言った。
すると、Kがおもむろに立ち上がり、冷蔵庫から桃を取り出し、まな板と包丁を持って自分の席に置いた。
僕は、シャインマスカットを1つひとつ横に真っ二つに切って皿に盛りつけた。
Kが何も言わなくても珍しく自ら桃に手をつけたのは、以前僕が桃を切ろうとした時にうまくいかず、たまたまKに代わったら、とてもうまく種が取れたことがあったから。
他の料理は全て僕に任せっぱなしなのに、それ以来桃となると自分の役目だと思っているのか、張り切って桃を切ってくれる。
もしかしたら、もっとKのことをおだてたら、色々なことをもっと手伝ってくれるかもしれないと思ったのだった。

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