誰もがそれを知っている

イラン出身の映画監督『アスガー・ファルハディ』は、今、最も映画界で注目されている監督のひとりだろう。
僕は、『彼女の消えた浜辺』でノックアウトされて、『別離』ではその奥行きに驚かされた。
今作『誰もがそれを知っている』は、ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムという、スペインの誇る演技派夫婦が、かつての恋人役で共演している。
息をつかせない脚本、先は意外と読めるのだけど、僕は犯人は誰なのだろう?とずーっと犯人探しをしていた。
一見、スペインの田舎町のただの大家族の出来事のようでいて、よく読み解いていくと、多様な立場の人物が寄せ集まっているのがわかる。
ペネロペは広大な地主の娘であり、かつての恋人ハビエルは下働きの家の子ども、ペネロペの今の家族には昔のような莫大な財産はないものの、かつての栄光は心の中にあり未だにしがみついている。ペネロペの家から土地を買い、今は成功しているハビエルの家には外国人労働者が沢山住み込みで働いている。
こんなスペインの田舎町で、ひとりの人間がいなくなるところから、急に物語に引きづりこまれるように落ちていく。
このような奥行きのあるサスペンス映画を作る監督は、作品で何を表現しようとしているのだろう?と考えてしまう。
この作品は、脚本の段階から綿密に計算された、現在の世界の縮図のようなもにも感じられた。
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