ついに、僕の母とKが一緒にランチをすることに。

満開の八重桜

鬱金

関山

週の中頃に母に電話をした。
僕「お母さん。今度の日曜日、ご飯食べようか?」
母「いいわよ。うちに来る?」
僕「お母さん、Kも一緒だから、外の方がいいかと思って…お父さんもKに会えるかわからないし…」
母「あら、そうなの…私は家でもいいけど、あの人がわからないから…それじゃあいつもの銀座アスターにする?」
僕「うん。11時半ね。」
母「お父さんは行くかわからないから、聞いてみるわね」
日曜日、僕はKと一緒に出かけた。Kはまだ僕の家族には会ったことはなかったので、実はこれがはじめての食事会なのだ。
Kはさして緊張することもなく、朝から白いシャツで行くと決めていたようでさっさと着替えていた。
銀座アスターに着くと、せっかちな母は父と一緒に先に着いていた。
母は、Kのことを見ると挨拶をして、「あなた、誰か俳優さんに似てるわね…」などと言っていた。
食事がはじまって、それぞれの話をする。僕がまだKのご両親に会えていないこととか、今回の同性婚訴訟のことなどを。
父もKに対して特別に気をつかう様子もなく、母は、僕と一緒に食事をしている時と、Kがいる時とで、全く何も変わらない。いつかは息子の男に会うことを、すでに予想していたかのようだ。
食事が終わって、いつものように駅で手を振りながら母と父を見送った。
姿の見えない息子の男のことを想像するよりも、実際にKに会うことによって、母や父は安心したように思える。
昔の僕だったら、自分の男を、まさか、親に紹介する日が来るなんて、思いもしなかったのが、今はこうして一緒に食事をしている。
人生は、思いがけない方向に流れていく。それは、僕たちの予想を遥かに超えていて、まるで周りのみんなのチカラが後押ししてくれているようにも思える。
母と別れてKとふたり、またいつものように新宿御苑を散歩しながら、満開を迎えている八重桜と桜吹雪を楽しんだのだ。

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