ROMA

『ゼロ・グラヴィティ』でアカデミー監督賞を受賞しているメキシコ人の監督アルフォンソ・キュアロン監督の作品『ROMA』は、今回、アカデミー賞に作品賞と外国語映画賞などでノミネートされている映画。
あまりにも国際的に評価の高いこの作品が、もし作品賞を取ったら、『万引き家族』が外国語映画賞を取れそうだけど、作品賞に他の作品が選ばれた場合、外国語映画賞は『ROMA』に行くかもしれない(もちろん、他の作品の可能性もある)。
この映画が観る前から何度も話題に上がっていたのは、劇場での上映がメインではなくて、NETFLIXの配信によってのみ各国で観られるという、映画界に殴り込みをかけたような作品だから。
面白いことに、観終わって調べたところ、映画自体は65mmのフィルムで撮影されているというから、劇場で観られたらまた違った感動があるだろうなあ・・・とつい思ってしまった。
家で新しい27インチのMACで映画を観終わった時に、「今年観る映画の中で、最高の映画の1本だろう・・・」と深く感じ入ったほど、「これこそ映画!」と思わせてくれる堪らない作りになっている。
白黒の映像で、ほとんどのシーンはメキシコのある中流階級の家庭の家の中の平和な映像なのだけど、それと対比して、外の世界は荒々しく残酷で美しい。
家政婦さんが子どもたちを起こしに行ったり、廊下を掃除していたり、キッチンの片隅でご飯を食べていたり・・・なんということのない日常生活が淡々と写し出されていく。
物語の説明はまったくない。映像を見ているうちに、ささやかな日常にさざ波が立ちはじめる・・・。
この時代の政情不安なメキシコにいたこともないのに、白人移民と原住民という異民族が絡み合いながら暮らす不思議な文化を、映画を見ながらいつしか自分も体験していた。
見終わった後に、物語の奥底に脈々と流れている確かなものに気づき、なんとも言えない読後感を味わえる深い作品。
⭐️ROMAhttps://www.netflix.com/jp/title/80240715

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