川連漆器。

口径が広く浅い。

ずっと長いこと、口径が広い深さの浅い器を探していたのだ。
夏に茹でた冷たいうどんの上に、ワカメや納豆や大根おろしやじゃこを乗せて、上からつゆをかけて食べる時なんかに使いたい器。
たいていどんぶりのものは口径が狭く、深さのあるものがほとんどで、お店で時々見かける器は陶器のものが多く、器の下の立ち上がりがなく今ひとつ手で持ちにくいため決めかねていたのだ。
先日、伊勢丹で器を見ていたら、口径の広い漆器を見つけて吸い寄せられるように手に持ってみた。すると、その持ちやすさと軽やかさ、そして、美しい朱色にその場で即決してしまった。
秋田の川連漆器だそうで、16.5センチもある口径は、この器を作るには相当大きな木を切らないとならないんです・・・とのこと。なんでも木の器は、木の真ん中の部分はほとんど使い物にならないそうで、その真ん中を除いた周囲の部分で器を作るのだそうだ。
川連漆器の起源はおよそ800年前に遡るそうで、源頼朝の家人が漆を使い武具に漆を塗らしたのが始まりだとのこと。
朝、温かいうどんを食べてみたら、器は軽く持ちやすく、熱も冷めない。そして熱いのに手で器を持つことができて、口をつけても器の存在を感じないようにやさしかった。
日本の民芸の職人技には、使うたびに感心させられる。

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