ふたりのもみの木。

町では気の早いクリスマスの飾り付けも始まってきているけど、アメリカの感謝祭(11月の第4木曜日)が近づいてくると、なぜだかクリスマスの気分が高まってくる。
この家に引っ越してきてから、クリスマスを迎える11月の終わりくらいからもみの木を買ってきて飾り付けをしている。
ニューヨークなんかの町中で切って売られているもみの木とは違って、根っこがついたもみの木で、毎年きちんと植えて外に出して管理するのだけど、東京の真夏の暑さには弱いようで、盛夏の頃にいつも枯れてしまう。今年も例外でなく、酷暑の中でかわいそうに枯れてしまっていた。
クリスマスが近づいてきたので気になったのか、Kが聞くのだ。
「ただしくん、今年はクリスマスツリーどうするの?」
僕は、Kの顔を見ながら、「買うつもりだよ」と答えた。すると、Kはちょっと安心したような顔を見せた。
クリスマスが近づいてくるこの頃、時々僕は思い出していた。
クリスマスツリーに一生懸命飾り付けをしているKの姿を。
ツリーに均等に照明が飾れるように気を遣いながら、何度も掛け替えていたっけ。それに、オーナメントをつける時も、じっくりと考えながら配置を決めていた。
それと、はじめてクリスマスツリーを買った年に、新宿御苑に松ぼっくりをふたりで探しに行ったのだ。寒くて晴れた日だったけど、松ぼっくりを探しているだけで、とても温かな気持ちになったのだ。
そんなふたりのたわいもない瞬間をふと思い出して、今年のクリスマスも幸福だなあと思っている。
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