顔たち、ところどころ

ヌーヴェル・バーグを代表する映画監督アニエス・ヴァルダと、ビルや壁に巨大な人間の写真を貼るアーティストJRによるロードムービーのようなドキュメンタリー映画は、観ている僕たちもほっこりと暖かくなるようなかわいい映画だった。
ふたりは出会い、ドキュメンタリー映画を共作することを決めるのだけど、JRのトラックに乗りながら、思いつきのままフランスの田舎町を旅してゆく。
87歳のアニエスは、時々昔の友人たちを懐かしんだり、旧友の墓地を訪れて作品にしたり、33歳のJRは、決して人前でサングラスを外さず、自分の狙いの写真を撮影してゆく。
はっきり言って、ふたりのやりたいことは噛み合っていない。それは、ふたりのアーティストの惹かれるもの、やりたいこと、作りたい作品が全く違うから。
33歳のJRが、いつも87歳のアニエスを気遣いながら旅を続けている様は、おばあさんと孫のようでもあり、見ていて飽きない。
アニエス・ヴァルダが、年老いても尚、女性たちのために戦っている姿勢を保ち続けていることが凄いと思う。
この作品を見ながら、さもない町のカフェで働く女性や、毎日一人で畠を耕してているおじさんや、港町で夫を支える女性たちが、それぞれにストーリーがあってなんて魅力的な人間なのだろう…と思えてくる。
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