緊急の時に。

先日、横浜の友人宅を訪れた帰り道、Kとふたり、元町から電車に乗って座っていたのだ。
すると、次の駅で人がどどっと乗ってきて、若い男性がひとり、ドアに頭を押し付けてもたれかかった。
どうやら横浜では野球の試合が終わったところのようで、ユニフォームを着ている人たちと一緒に男性も乗って来たので、「野球の試合で飲み過ぎたのだろう」くらいに思い、僕はスマホを見ていた。
するとKが、「なんか、あの人様子がおかしい」と言うのだ。僕は、ドアにもたれている若者を見ながら、「酒に酔ってるんじゃない?」とまともに取り合わずにいた。
すると、少ししたのちにその若者が今度は床に眠るように倒れたのだ。そこで僕は驚いて、それでもどうしたものかと戸惑っていた。周りの人たちもみんな関わり合いを持ちたくないような感じで若者を避けるように立っていた。
そこですかさずKが立ち上がり、「大丈夫ですか?」と若者に声をかけた。僕も心配になり、席を立って若者に近寄った。
若者は、意識がなく、何も答えなかったので、Kは若者を抱きかかえ叫んだ。
「どなたか、電車の緊急ボタンを押してください。次の駅で止まってからでもいいので!」
側で避けていたおばさんが、「具合悪い人はそっとしておいた方がいいんじゃないですか?」と呟いたので、僕が「この人、病院につといめてるんです」と言った。
駅に着いてアナウンスが入り、駅員さんが走って来て若者を抱えて外に出た。僕たちはこれで一安心・・・と思い、席に戻ろうと中に入ったのだけど、席は周りにいたおばさんと女性が占拠して座ってスマホをいじっていた。
とっさのことで、僕もどうしていいのかわからなかったけど、Kが勇気ある行動に出てくれて、内心とても感動したのだ。
もう席には座ることは出来なかったけど、若者が無事に助かってくれたらいいなあと、気持ちは晴れ晴れとしていた。
公共の場で緊急の時には、人の行動力が試されることがある。
そんな時に、Kのように躊躇わず行動する人になりたいと、この年で改めて思った。

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