誰かを思い出した時に。

夜中に夢を見て目が覚めたのだ。
その夢には、会社の同期のIが出ていた。
Iは、東京大学を現役で卒業したのち会社に入り、マーケティングから営業でバリバリ働いていた男で、頭が良く、それでいて育ちの良さを併せ持ち、尚且つ性欲旺盛だった。
結婚しているのに、女の人の噂は耐えることがなく、なぜか僕には、「この頃、トランスジェンダーの女性に惚れ込んでいるんだよね・・・彼女たちは、女性にはないものすごくピュアな一面を持っているんだよ」などと、言いだすこともあった。
Iは、僕が知らないうちに何か問題があったのか会社を辞めてしまっていて、そのあとIの行方は、同期の誰に聞いてもわからなくなっていたのだ。
そのままベッドの上でIの名前を検索、ここまでは前にもやったのだけど、facebookでも出てこなくて諦めたのだった。今度はIの故郷の都市を入れてみると、なんだかそれらしい人が出てきた。
カメラマンのページにつながり、略歴が出てきたのでチェックをすると、広告代理店勤務ののち独立と書いてあり、Iだとわかった。
よく日、スマホからIにメールを打ってみた。
「前略・・・もし東京にいるのならば、お時間が合えば会ってご飯でもしませんか?お忙しいかもしれませんが、お時間が出来たらご連絡ください。会えなかったとしても、健康で、笑いの溢れる毎日を。」
すると、間髪入れずに返信がきたのだ。
「僕も、君のことを思い出していました。どうしているのかなと。
現在、フリーランスのマーケティングコンサルタントと写真の仕事をしているのですが、先日、〇〇TVとの打ち合わせに行く際に〇〇を通り抜けていて、君と思しき人とすれ違った気がしました。時間がなかったのと、人違いだったらという不安で声をかけることができませんでした。」
それから僕たちは、LINEの交換をして5月の後半に会う約束をしたのだった。
誰かを思い出した時に、昔はそのままやり過ごしていたのだけど、今は、時間がとても短く限りあるものだという思いが強く、「今連絡しよう!」と思って行動に出ることにしている。
今となっては会わなくなってしまった人であっても、僕の人生の中で、確かに一緒の時間を過ごした人なのだ。
僕はきっとIにカミングアウトをするのだろうなあと思うし、久しぶりに会うIのセックス話を、今から楽しみにしている。

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