八重桜。

鬱金

新宿御苑に、Kとふたり八重桜を見に行った。
今年に入って新宿御苑に行くのは、これで5度目。それもこれも、年間パスポート(2000円)を持っているから。これがなかったら、もしかしたらソメイヨシノのシーズンしか行かなかったかもしれないけど、これがあるおかげでちょっと緑の中に身を置きたい週末の朝なんかに、気軽に御苑の大木の中に行くことが出来る。
ソメイヨシノの頃のような人出はないものの、家族連れが多く、桜の下とかあまり関係なく芝生の上で寛いでいる感じ。
実は、八重桜のことを、昔はどうしても好きになれなかった。山桜やソメイヨシノのような一重の桜が、日本の桜であり、八重はなんだか人間の欲望によって無理矢理作られた造花のようなものに思えたのだ。
それがいつ頃からだろうか、この、学芸会や商店街の飾り付けのようにさえ見える八重桜のことが、だんだん好きになっていたのだ。僕が思うに一重の桜は、樹木全体を遠くから眺めるのに向いていると思うし、八重桜は、舞台のように近くで見るのに向いている。
八重桜の品種は新宿御苑の中でも意外に多く、『関山』『一葉』『福禄寿』『兼六園菊桜』『ギョイコウ』・・・よく見ると葉の出方や花の大きさ、ピンクの濃さなどかなり違っているのがわかる。
前にもここに書いたことがあると思うけど、僕はこの中でも『鬱金』が好きだ。
緑色の花弁を持ち、ところどころピンク色の色が潜んでいるような花色は、シックだけどどこか華やかで移り気なゲイのようではないか。
花の時期はだいたい10日。この足早に移り変わってゆく春を、今年も見逃さずにいたい。

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