Nに会いに、和歌山へ。

紀ノ川

金曜日の夜に大阪に入り、土曜日は朝から和歌山へ。
電車の窓から雄大な紀ノ川が見えると、「ああ、また和歌山に来たんだ・・・」と思う。Nとふたりでこの川を何度渡ったことだろうか?
Nのお墓に着くと、お父様とNの戒名が並んでいるのを確認する。
お母様の戒名がないのを見ると、まだお母様はお元気なのだろうか。Nの生前、お母様には何度か会っていて、そのたびにやさしい笑顔が印象的だった。
今こうして墓前で座っていると、色々なことを思い出す。Nとの生活はまるでジェットコースターに乗っているようで、時々僕はやつれ果て、周りの友人たちにも心配をかけたものだった。Nはやさしい性格であり激しい性格だったので喧嘩も随分したけど、あんなに喧嘩をしたのに、一度たりとも別れようとは思わなかった僕は、Nのことが本当に好きだったのだと思う。
帰りの電車で、はじめて和歌山に来た時に連れて行ってもらった『ポルト・ヨーロッパ』が見えた。「ヨーロッパの真似をしたようなところなんだけどね・・・」Nはそんな風に僕に言って、夕日が海に沈んでゆくのを見ながら、小さな石をいくつも海に投げたのだった。
先日、家にしまってあるフォトフレーム入りのNの写真が出てきて、懐かしく中を開けたら、写真の裏に、僕がNに宛てて書いた当時の手紙が出てきた。それもフレームごとにいくつも。
そこには、ふたりが幸福だった時間が、そっくりそのまま残っていたのだ。
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