Nの命日。

10年間つきあったNがこの世を去ってから、もう4年が過ぎたのか・・・。
4月5日は、Nの命日。
僕は4日の夜も半睡状態の中ぼんやりとNのことを考えていた。この家に引っ越して来て、Kが家に来てから、Nが一度僕の枕元に立っていたのをKが見たことがあったのだ。
「大きな男の人がただしくんの横に立ってる!」
「ただしくんと同じパジャマを着てた…」
僕は、怖いなどとは全然思わなくて、毎年この時期になると、Nが僕の元にやって来てくれるのではないだろうかと、夜中に起きた時にもリビングを覗いてみる。
浅い眠りの中で、久しぶりにNの夢を見た。
Nと僕はふたりで、一緒に2回行ったシチリアにいたのだった。夢の中では太陽のような笑顔も、大きな笑い声も、Nのままだった。
会社を経営してゆく困難や、身体中の痛みから解放されたNは、今どこにいるのだろうか?輪廻転生がもしあるならば、いつかまた僕の近くに来てくれるかもしれない。
桜が咲き、散ってゆくこの季節は、新しい年を迎えるワクワクする気持ちとともに、今ではもう帰らない人になってしまったNのことを思い出す。
それは喪失感や悲しい気持ちだけではなくて、一緒に生きた10年間の中で感じていたあたたかい愛情のようなものを。

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