眠れない夜に。

だいたい2時過ぎだろうか、時々夜中に目が覚めることがある。
トイレに行って枕元に置いてある水をひとくち飲んでもう一度寝ようとベッドに入るけど、起きてしまったせいで目が冴えてなかなか寝付けないこともある。
色々なことが頭の中を駆け回ったり、仕事のこと、母のこと、年をとってゆくこと、10年後や20年後30年後のこと…
普段はあまり考えないようなことが次から次へと頭の中を駆け回り、目はどんどん冴えて更に眠れなくなってゆく。
そんな時、隣で熟睡しているKの息づかいを聞いてみる。
完全に安心しきって、花粉症で鼻が詰まっているのか、口を開けて時々いびきをかきながらよく寝ている。
「ああ、俺もこんな風に朝まで一度も起きずに眠りたい…」
この子は、27歳の時に僕とインターネットで出会って、その後大分と東京で暮らしていたのに、30歳で仕事をやめて、仕事も何もないまま丸裸で東京に出て来たのだ。
16歳も年の離れた僕と、人生をともに歩いていこうなんて、よくも思ったものだと思う。
なんの取り柄もない僕との人生を選ぶなんて、なんて大きな人生の賭けに出たのだろうか…
そんなことを考えながら、手を伸ばしてKの手を触ってみる。
僕の手に気づくと、眠ったままKは手を握り返してくる。
しばらく手を握りながらあれこれ考えているうちに、いつのまにか僕も眠りに落ちてゆく。
眠れない夜に隣にパートナーがいることは、それだけで宝物なのだ。
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