LUCKY

昨年亡くなってしまったが、映画『パリ・テキサス』で有名なハリー・ディーン・スタントンが、90歳の偏屈な老人役で出ている映画『LUCKY』は、年老いてゆくひとりの老人の内面をじっくりと捉えた作品だった。
昔は海軍のコックを勤めていた90歳のラッキーは、毎日自分で淹れたコーヒーを飲み、柔軟体操をこなし、外出していつものダイナーで朝食を食べながらクロスワードパズルにいそしみ、いつもの店でミルクを買って帰って、ソファに座って毎日同じ番組を見ながら過ごしている。
家族や身よりもなく、ひとりで思うように生きてきたラッキーは、頑固で偏屈で、自分の考えをしっかりと持ち、誰かに何かを言われようとも意思を曲げようとはしない。
そんなラッキーの穏やかな毎日は、ラッキーを取り巻いている周りの人々のやさしさやあたたかさによって見守られている。
90歳という年齢になっても尚、人には過去の出来事をいつまでも思い返して悔やんでいたり、死に対する計り知れない『怖れ』があるのかと、映画を見ながらさまざまな思いがよぎった。
爆発したり、人が殺されたり、宇宙船がやってきたりなどしない。
静かでしみじみとした90歳の老人の毎日を描いた映画らしい映画。
デヴィッド・リンチが友人役で出ていて驚いた。
⭐︎LUCKYhttp://www.uplink.co.jp/lucky/

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