母が家にやってきた。

週のはじめに母から電話があった。
母「あなた、木曜日の午後は早く帰れないの?
わたし、初台の友だちのところに行くから、
その後にあなたの家に寄ろうかと思って」
僕「仕事だけど、調整出来たら連絡するね」
いつもは再婚した父と一緒に会っていた母が、急に母だけで僕の家に来るということは今までなかったので、何か話しでもあるのかと思い、急遽半休を取り駅に母を迎えに行った。
前から気に入っている鳩森神社へふたりでお参りに行き、ゆっくりと歩いて僕の家に。
母はカフェインが飲めないので何を飲まそうかと迷っていたが、フルーツのジュースは甘いから好きじゃないと言うので炭酸水を出すと、美味しくないと言って笑った。
母「そういえば、○○銀行に貸金庫があるのよ。あなたにそれを言っておかないとと思って・・・中身はいくらあるのか全然知らないんだけどね・・・どうせそんなにないと思うんだけど・・・笑」
母「それと・・・金の棒がしまってあるのよ。延べ棒っていうの?よく金を買うと見本で出てくるようなやつ。そういうものもあるみたい」
僕「お母さん、貸金庫とか、金の棒とか、なんで急にそんなこと言うの?」
母「私ももう76歳だし、あの人も年だし、何があるかわからないから・・・もっときちんと紙に書いておくけど、何かあった時にと思って・・・」
自分たちの人生の終い方を考えはじめている母を思うと、なんだか急に寂しくなってしまう。若い時に苦労ばかりしていた母を思うと、出来るならば僕よりも長生きして欲しいと思う。
一通りそんな話をしたあとに、またゆっくりと歩きながら帰って行った。

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