バラの植え替え。

ベランダでバラを育てていて一番大変な作業は、コンテナの植え替えだ。
バラの植え替えは、バラが休んでいる冬の間にやらなければならないため、凍えるような冬の日にかじかんだ手をこすりながら、バラの棘に刺されることになるのだ。
このマンションに引っ越して来た年に新しい鉢に植え替えたのだったけど、2年も経つと鉢の中は根がびっしりとはびこり、新しい根が伸びてゆくスペースがないのがわかる。
新しい根が伸びないということは、それだけ花の数も咲かせられず、花の大きさも小ぶりにならざるを得ない。植物の地上と地下は、基本的には同じ大きさを反映しているからだ。
久しぶりに東京で過ごす週末はどうやら暖かいらしいので、どうしてもバラを植え替えようと思い、気乗りのしないまま午前中にはじめた。
奔放に伸びた3メートル以上ある枝を集めて紐でまとめて縛り、テラコッタの重いコンテナを運び引っこ抜く。
丁寧に付いている土を落としゴミ袋に入れ、今年からは保水性の高いプラスチックの鉢に土を入れて植えつけた。
全部で6つあるコンテナのうち2つ終わって、3つ目のバラは根元までびっしりと棘が生えていて、雑巾で枝を持っても容赦なく指を刺してきた。
その痛みときたら、「もう2度とバラなんか育てない!」と叫びたいほど超痛く、そのまま座って泣きたくなった。
「ああ、こんなこと、もうかれこれ20年くらいやってるんだよなあ…
世の中にバラがなかったら、人生はどんなに穏やかだっただろう…」
そんな風に思いながらもなんとか目標の6本のバラの植え替えを終わらせた。
仕事から帰ってきたKに、棘に刺された手や指を見せながら、どんなに大変だったかをとうとうと話したのだけど、Kにとっては全てが笑い話のようで、ケラケラ笑ってばかりいる。
今年一番しんどい作業でヘトヘトになったけど、これで美しい花が見られると思えば、やっぱり頑張って植え替えをしてよかったとつくづく思ったのだった。

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