ゲイの僕に、ゲイの仕事。

一昨年だっただろうか、会社の一階受付の広場で『OUT IN JAPAN』の展示を行った時に、自分の写真とともに部署名まで貼り出された僕は、実質上カミングアウトをしたわけなのだけど、カミングアウトをした後に、何か変化や嫌なことがあったかというと全くそんなことはなく、変わらない会社生活を送っていた。
そんなある日、新しい仕事のオファーが来たのだけど、内容をよく読まずにアサインして打ち合わせに出る直前に資料に目を通すと、ゲイ関係の仕事だったのだ。
一瞬、「炎上して面倒なことになったらどうしよう…」と頭の中をよぎったのだけど、気を取り直して打ち合わせに参加した。
後輩のノンケのコピーライターがコピーを書いて持って来ていて、それを見ながら打ち合わせがはじまった。
『男同士だって、きゅんきゅんしたい』
『四面ホモ』
『男と男の恋は、健気で美しい』
僕「あのー、ゲイのこと、いや、俺のこと、バカにしてるのかな?」
後輩「いや…そんなことないですよ。僕なりに男同士の恋愛って難しいだろうな…とか考えて書いたんです…」
僕「男同士の恋愛も、男と女の恋愛も、基本的にはおんなじだから。どっちが健気で美しいとか、ないからね…」
後輩「す…すいません!」
僕「それに、四面ホモって…四方をホモに囲まれている状況なのかもしれないけど、ホモって言葉、今はテレビでも広告でも使えないって知らなかったのか?」
後輩「えっ⁈ 使えないのは、ゲイじゃなかったんですか?」
僕「あのさ…今の時代、僕らの職業なら常識なんだけど…」
後輩「あちゃー、じゃあこれもこれも、ゲイにしときます!」
そんなこんなで僕は大笑いしながら打ち合わせをしたのだけど、どうやらプレゼンでは、僕に自分がゲイだということを現場で言って欲しいという要望まで出た。
僕「まあ、それで向こうが興味持ってくれるのならいいですけど、仕事ではじめて会う人に、ゲイです!とかって言うの、はじめてですね…」
さてこの仕事、この先いったいどうなることやら…。
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