ささやかな、ハッピーバースデー。

朝起きると、目の前にKの顔があった。
「ただしくん、49歳になっちゃったね…」
一瞬何のことかわからず、少し間を置いてからやっと自分の誕生日なのだとわかった。
SNSでも誕生日を公開していないのは、フェイスブックなどでいちいち誕生日が知らされることにうんざりしているから。(鬱陶しいと思いませんか?)
やがて8時を過ぎた頃、待ちかねていたように母親から電話が入る。
「あんた、49歳になったんだね!50歳じゃないわよね?」
「うん。誰か他の人の誕生日みたいに感じるよ」
母はきっと、昨日から、いや、12月に入ってからずっと電話をかけることを覚えていて、早起きだから今朝も今か今かと時間がたつのを待っていたに違いない。
そんなことを思うと、ちょっと泣きたくなる。
こんな僕でさえ、誕生日を覚えてくれている恋人と母がいることを、とても幸せなことだと思う。
自分の誕生日を、派手にお祝いされることが苦手な僕は、毎年東京を離れた町でひっそりと過ごすことにしている。
今年も去年と同じ我が心の故郷、福岡へ。

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