Kが、教えてくれること。

旅行の前日の金曜日、僕の仕事が遅くなり、Kが先に帰って晩ごはんの準備をしてくれていた。
といっても、昨夜すでにクリームシチューを僕が作っておいたので、パンを切ってシチューを温めて、茹でてある野菜を盛りつけるくらい。
でも、盛りつけた野菜が沢山あって、シチューにもブロッコリーを山ほど入れると言うのだ。
それは、明日から旅行に行くから、食材をほんのひと切れたりとも無駄にしたくないからだろう。
昔、僕たちが東京と大分で別れて住んでいる頃、ふたりで旅行に行った先で日帰りの温泉に入ると、Kは温泉で使った200円のタオルを、いつも大事そうに持って帰るのだった。
「捨てるのはもったいないでしょ」
僕の家にふたりで暮らすようになって驚いたことは、コンビニやスーパーでもらって来たビニール袋を、僕は適当に丸めて箱に突っ込んで置くか、すぐに捨ててしまうかだったのに、Kはそんなビニール袋さえも、「ゴミを捨てるときに役に立つから」と、きれいに折りたたんで振り分けてしまって置くのだ。
僕はKの、そんなつましい生き方が好きだ。
今までずっとバブルの申し子のように生きてきた僕に、神さまがプレゼントしてくれたのだろう。
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