バリ島旅行記vol.10(バリの洗礼三部作。その1)

2002テロ襲撃事件のモニュメント

被害者の中には日本人が2名いた

〈バリの洗礼。その1〉
バリ島での出来事が、すべて夢のように素晴らしかったわけではない。日本とは全く生活水準も宗教も習慣も違うインドネシアのバリ島というだけあって、ちょっと驚くようなことがあった。
最後の日に、僕たちは日本人の旅行客が集まるというKUTAという町に行った。KUTA自体はずいぶん昔に、波がとても高いことからサーファーが集まるようになり、その後に観光客が世界から押し寄せ、言うなれば日本のブーム時の熱海のようになった場所。
それが今では、バリ島の中心はKUTAからどんどんずっと北へ移動してしまい、今やKUTAは、時代に取り残された観光客相手のレストランか、ニセモノ屋しかないというのだ。
僕にはKUTAに対する興味はなかったのだけど、Kが見てみたいと言うのでタクシーを飛ばして行ってみた。ヴィラの手配で行きは真面目なブルーバード。それでもバリ島の祭日だったようで道が滅茶苦茶混んでいたので700円払った。
KUTAの町をしばらく歩いていると、通りの向こうからササっと巧妙に我々の前に歩み寄って来たおっさんが話しかけて来た。
おっさん「こんにちは。これからどこに行くんですか?」
K「あ、こんにちは。ビーチに行ってみようかと思って」
おっさん「海で泳ぐなら、KUTAよりもヌサドゥアの方がいいですよ。実は私は、横浜に住んでまして・・・」
僕「K!あっち行くよ!」
K「おじさん、横浜に住んでるんだって」
おっさん「あれ?僕は悪い人じゃないですよ。そっちの人は急に向こうに行っちゃいましたね」
僕「K!早くおいで。行くよ!」そこでKが仕方なくこちらにやってくる。
K「なんで?あの人日本に住んでるんだって日本語上手だよ・・・」
僕「海外で、日本語で話しかけてくる人は、まず間違いなく何かしらの思惑があるの。急に親切そうに日本語で話しかけて来て、巧妙に話題を変えて、結局は僕たちを騙してお金を取ろうとする人がほぼ100%だと思って間違いないからね」
そんなやり取りがあり、Kはシュンとしてしまった。勿論、日本語で声をかけてくるすべての外国人が悪い人でないかもしれない。でも、海外ではまず完全に疑ってかかることが重要だと僕の経験からは思っている。
パチくさいもの(偽物)だらけのお店と、観光客相手の不味そうなレストランの連続に飽き飽きしてビーチに着くと、これまた、サーフィンをしないか?パラソルで休まないか攻撃がはじまった。暑い太陽が照りつける中、2002年のバリ島のテロ事件があった慰霊碑まで行き、ふたりでお祈りをした。「これから先、二度とこのような事件が起こりませんように」
フラフラに歩き疲れて、KUTA自体にうんざりしてしまった僕は、なるべく早くこの町を離れて、僕たちの過ごしているスミニャックやクロボカンに帰ろうと思ったのだが、町中が異常な渋滞で、道を変えて探し回っても、一向に空車のタクシーが見つけられないのだ。
喉もカラカラに乾き、Kは呆然となったまま、僕たちはなんとかホテルを見つけてホテルに入って行った。そこで、フロントでタクシーを呼んでくれと頼んだのだが、数分後にやって来て、「今の時間はすべて満車のようで、全く捕まえられません」と言われて、またタクシー探しがはじまった。
今度は広い通りに出て、やっとのことで駐車場に止まっているタクシーを見つけたのだ。運転手は35歳くらいだろうか?タバコを吸いながら面倒臭そうに『どこまで?」と聞いて来た。
<その2へつづく>
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