花火。

長いこと神宮外苑の近辺に住んでいるのに、今まで花火大会をまともに見ることはなかった。
昔住んでいた場所は神宮球場の真ん前だったので、近すぎて爆撃のようだったのと、花火大会当日は人が多く道も封鎖されマンションに入る時も厳重警備で、終わって飲みに行くことさえ容易ではなく、僕にとってはただただ面倒くさい催しとしか思っていなかったのだ。
引っ越しをして昨年の夏は旅行に出かけていて、今年はどうしようかと考えていた矢先、大家さんとバッタリ会ったら、「屋上を解放しますので、そこでご覧になってください」とやさしい言葉をいただいた。
花火大会の日曜日、昼間は映画を観て、夕方に高島屋でお寿司と唐揚げを買って家に帰って来た。7時15分ころから屋上に上がり、家の椅子やテーブル、お酒や食べものを運び、Kとふたり万全の状態で7時半を迎えた。
花火は1時間の間花火と花火との間隔がほとんどなく、合計1200発も上がったらしい。
僕の家の屋上から見る花火は、最高のロケーションとまではいかないけど、十分に大きく、周りからしたら特等席のような場所で、住人は僕とKの他には誰もいなかった。(途中、こっそり大家さんが上がって見にきたのをKが見つけたけど、何も言わずに降りて行ってしまった)
こうして改めて夏の夜空に浮かび上がる花火を見ていると、花火とは、上がった時の大きな音を聞きながら、時間差で予想のつかない花火が花開いてゆくのがいいことと、花火独特の火薬の匂いもいいものだなあ・・・とわかったのだった。
僕としては、普段決して写真など撮らないKが、珍しく花火の写真を撮ったり、ムービーまで回していたので、そんな姿を見ているだけで、お母さんのように幸せだったのだ。
来年もまた、こうして花火が見られますように。

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