ブログを見ている方との出会い。

週末の『Bridge』のドアを開けると、マスターが僕に言った。
「あ、ただしが来た。ちょうどよかった。こちら、前に話してたHさん。ただしのブログを見たことがあるって言う人で、機会があったら今度一緒に会おうって話していた人」
Hさんは前から『Bridge』のお客さんで、リンク先を訪ねて来てくれたようだった。こんな風に、この小さなブログを見てくださった人と実際にお会いすることが今までも時々あったのだけど、そんな不思議な出会いを、僕はとても楽しみにしている。
向こうは大抵僕の顔さえ知らない人で、会った瞬間の表情を見るのも楽しく、僕は僕で、「いったいどんな人なのだろう・・・」とちょっとワクワクするのだ。カウンターに座り話していると、Hさんがぽつりと言った。
H「僕が思っていたイメージと、ちょっと違ってます。もっと・・・なんというか、東京っぽい方かと思ってました・・・」
僕「変ですね・・・生まれも育ちも東京なんですけど・・・笑」
その後、Hさんと色々な話をした。お仕事のこと、昔つきあっていた人のこと、そしてご病気のこと・・・。Hさんは大病をされていたようで、Bridgeに来るのも久しぶりと言うことだった。
H「あのー、少し前のブログなんですが、卵焼きが写っていたものがありましたよね・・・」
僕「あ・・・いつもの朝ご飯ですかね?あれは出し巻き卵ですね?」
H「あ、それです。その写真を見ていて・・・僕はもうこの先、こんなご飯を食べられないんじゃないか・・・って思って・・・」
そうつぶやいて、Hさんは言葉に詰まって、涙ぐんだ。
賑やかな土曜日のBridgeのカウンターに座っていると、僕の知り合いが次々と現れ、挨拶したり、しゃべっていった。
Hさんの話を聞きながら僕が頭の中で考えていたことは、インターネットの世界では、自分では何気ない日常をあげているつもりでも、見る人によって、それはちょっと違う意味を持って受け取られることがあるということ。今回の件は、人に不快な思いにしたり傷つけてしまったわけではなかったので、安堵したのだ。
先日、テレビを見ていたら、渋谷にいる若い女の子がいて、その子は今ではとても元気でぴんぴんしていたのだけど、数年前に珍しい大病を患ってしまい、その時にこう思ったそうだ。
「私、今までどこかに旅行に行ったり、海外に行ってはっちゃけてる写真とか、幸せそうな写真とかSNS上にあげていたんですけど、自分が大病になった時にわかったんです。今は他の人のそんな写真を見たくないな・・・って。それからはもう、自分からはそういう写真をあげることはしなくなりました」
僕は今では、SNSはほとんどやっておらず、ごくたまにFacebookのメッセージが来たついでに少し覗くことがあるくらい(実際には辞め方を調べている)。僕は、友人たちがどこかへ行って元気に写っている写真を見ることに抵抗はないけれども、改めて考えてみるとそれは、今の自分が健康で幸福だからなのだろう。
今まではなかなかそんなところまで思いを馳せることはなかったのだけど、Hさんに会ったおかげで、今までとは違った一歩引いた視点があることに気づかされたのだった。

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