Kのこと。

Kはアルパカに似ている

Kは、周りから見ると、随分おっとりとしているようだ。大抵の友だちは、後からKのことを僕に言う。
「なんだかのんびりしていてやさしそうな彼氏でよかったじゃない」
でも、僕から見るKは、意外としっかりとしていて、たとえば、旅行中や映画館などでチケットを買うと、僕とKのふたりぶんのチケットを自ら持って、決してなくさないのだ。(僕に渡してしまうと、二回に一回くらいはどこかに行ってしまうとでも思っているかのように)
それから、検査技師という仕事柄なのかとても清潔好きで、水回りのぬめりや水がいつまでもついていて乾かないような場所があることをとても嫌うのだ。
僕は、大雑把に家が片付いていたらいい方なのだけど、Kは、キッチンや洗面所、トイレやお風呂の水回りを、親の仇を取るかのように毎日丹念に掃除してくれる。
それと、洋服そのものは安物でもなんでも構わないのだけど、古くなって袖がほつれてきたり、破れているようなジーパンが性分的に嫌いなようだ。
先日、僕の顔を見ながらなんだかニヤニヤしているので、何かあったの?と聞くと、
「ただしくんのあの青いの捨てちゃった…」
と言うので、青い何だろう…?と問いただすと、僕がKと一緒に2年前くらいに買ったGAPの綺麗な青いTシャツのことで、それはダメージ加工がしてあり生地がクタッとしていて、気に入って何度も着ているうちに更にクタっとなり、脇に小さな穴が空いて、おまけに襟ぐりが随分ほつれていたのだった。
僕は、Tシャツに穴が空いていようが、襟ぐりがほつれていようが構わないのだけど、K的にはそんなTシャツを着ている僕をどうしても許せなかったみたい。
僕「もったいない…コットンがこなれてきて気持ちよかったのに…」
K「貧乏くさいものはすぐに捨てます」
高校生の頃、古着を着ていて母が嫌がっていたことを思い出して、なんだかお母さんみたい…と思って、笑ったのだ。
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