花様年華

昨日に引き続きル・シネマに『ウォン・カーウァイ特集』を観に行った。
説明がまったくない映画なので、とてもわかりにくいストーリーだと思う。はじめてで、しかも1度しか観ていないので間違っているところもあるかもしれないが、僕なりにこの映画を解釈したいと思う。
1060年代の香港の雑居ビル。トニー・レオンとマギー・チャンは、偶然同じ日に隣同士に引っ越してくる。ふたりにはそれぞれ奥さんと旦那さんがいるが、ふたりとも忙しく夜勤であったり海外赴任が多かったりでほとんど家には戻って来ることがない。トニーとマギーは、本を貸したり返したり、隣同士の関係を保ったままでいるが、ある日お互いの旦那と奥さんが浮気をしていることに気づき、トニーとマギーは少しずつ親密な関係になってゆく・・・。
べたべたのラブロマンスを想像していたら、全く違った映画だった。それは純粋で儚く、決して一線を越えようとしない稀に見る美しいラブストーリーだったのだ。
多くを語らず、観客の想像に任せる余白のある物語の構築手法は、ウォン・カーウァイの凄腕だろう。香港の湿度の高い空気感と、雨、極彩色の衣装や背景が物語に深みを与えている。マギー・チャンのチャイナドレスが例えようもなく美しく、後ろ姿が印象に残る。トニー・レオンは哀愁感の漂うまなざしをしている。
大人だからこそ、簡単には身体の関係に移行しない、そのぎりぎりのところで保ち続けている恋愛関係がせつなく美しい。
映像の随所に、物語に込められた秘密が散りばめてあり、観終わった後にふたりで、「あれはどういうことだったの?」などと、話が出来たらとても面白いと思う。(僕たちの場合、観終わったあとにKは、「映画でこんなに寝たのははじめて」と言っていた。笑)
☆花様年華https://www.fashion-press.net/news/30766

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