セールスマン

ずっと待ち望んでいたアスガー・ファルハディー監督『セールスマン』を、ル・シネマに観に行った。
ベルリン映画祭銀熊賞に輝いた『彼女が消えた浜辺』を観て以来、アスガー・ファルハディー監督の作品に魅了され、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『別離』では、心は千々に乱れ完全にノックアウトされてしまった。
本年度のアカデミー賞外国語映画賞をまたしても受賞した『セールスマン』は、とてもシンプルなストーリーなのだけど、話と並走してアーサー・ミラーの『セールスマンの死』の劇が上演される。
イランというと、女性はヒジャブを被って顔と手以外の肌を人に見せないようにする習わしであったり、未だに女性の社会的な地位が低いようなイメージがある。(この点は日本も他国と比べることはできないだろう)
そんな現代のイランのごく普通の夫婦の関係が、ある夜、名も知れぬ侵入者によって壊れはじめる。
観ているうちに映画の中に引き込まれ、自分は夫の立場がわかると思ったり、奥さんの心情がわかると思えたり、自分が試されているような感覚に襲われる。
そしてエンディングに向かって、人間の中で最も難しい『赦す』という行為を迫られることになる。
僕自身は、『別離』が傑作だと思うが、『セールスマン』も見ている時にはドキドキと恐ろしく、見終わった後には寒気のするような映画だった。(ちなみにKはこういう映画は嫌いと僕に言った)
⭐︎セールスマンhttp://www.thesalesman.jp/

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