マンチェスター・バイ・ザ・シー

今年はまだ5ヶ月しか経っていないのだけど、心に残る映画がすでにいくつもあったように思う。そんな中でも僕が今年一番むせび泣いて、愛おしく感じた映画は、この『マンチェスター・バイ・ザ・シー』だ。アカデミー賞の主演男優賞と脚本賞を獲得したこの映画は、今回のアカデミー賞の中でも隠れたダークホースだったのかもしれない。
リー(ケイシー・アフレック)は、ボストンでアパートメントの排水管を直したり鍵を直したり、いわゆる便利屋をやっている。リーには地元マンチェスター(ボストンの北。ニューハンプシャー州)に兄がいて、とても仲の良い兄弟なのだけど、ある日兄の病状が悪化してマンチェスターに急遽帰ることになる。マンチェスターでリーを待ち受けていたものは、リーが捨てて逃れて来たリーの人生だった。
この映画は、絶望の淵とそこからなんとかもう一度生きていこうとする人間の姿を描いている。死ぬことさえ出来ずに息を殺して生きている人間の、とてつもない悲しさと痛みを描きながら、愛する人たちによって癒され変わってゆく人間が描かれている。
僕はこんなリアリティのある映画が好きだ。
この映画のリアリティは、優れた脚本によるものであり、有名なお兄さんのベンアフレックにも負けないケイシー・アフレックの演技と、大好きなミシェル・ウイリアムスをはじめ俳優たちの素晴らしい演技によるものだと思う。
美しい長編小説を読み終えたような、なんとも言えない読後感をぜひ劇場で味わってほしい。
⭐︎マンチェスター・バイ・ザ・シーhttp://manchesterbythesea.jp/

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