懐かしい字。

昔から仲のよい友人Tの家にいく用事があり、お酒を飲みながらつまみを食べていたら、急にTが緑色の紙ナプキンを出した。
それは見覚えのある文字だった。
3年前に亡くなった、僕の昔の恋人Nの書いた祇園の地図。
地図はおそらく祇園のえんという飲み屋を教えたのではないかと思うのだけど、通りの名前や一力など、祇園の目印になるところは間違えないように書かれていた。
T「昨日、この紙ナプキンが急に出て来て、今日あんたが来るから、見せようと思ってたの…」
Nは、超世話焼きで、周りの友人たちがどこかに旅行に行くと知ると、美味しいお店や素敵な場所を紹介しまくったのだ。
紙に地図を書くときの真剣な表情や、口を尖らせる仕草、額に汗をかきながら必死に書く姿を思い出させた。
Nは僕がTの家にはじめて行くのを知って、Tに紙ナプキンを思い出させ、もしかしたら僕たちと一緒にそばに座っていたのかもしれない。
帰り道、紙ナプキンを財布に挟んだまま、Nのやさしさを懐かしく思い出した。
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