エリザのために

映画というものは、その時の国のありようを、もしかしたらニュース以上にリアリティを持って伝える力があるものだと思う。
『エリザのために』は、現代のルーマニアの重苦しく息も出来ないような空気感を見事なまでに画面に定着させた傑作だった。
医師のロメオは、娘をなんとかイギリスの大学へ留学させるために、あらゆる力を使ってなんとかしようと試みる。それは、正義と悪の間を揺れ動き、人間の倫理観を試されながら、父親としての彼の選択を固唾を飲みながら見つめ続けることになる。
どこにでもありそうな、ごく普通の家庭を描きながら、これほどまで恐ろしい表現ができるなんて、本当に驚きだった。映画好きにはぜひ見て欲しい秀作。
★エリザのためにhttp://www.finefilms.co.jp/eliza/

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