僕と世界の方程式

僕の周りには、『自閉症』の人がいなかったため、『自閉症』というものが、いたいどんな病気でどんな症状なのか、僕は字面からしか想像することが今まで出来なかった。
映画『僕と世界の方程式』は、実在の自閉症児のドキュメンタリーフィルム『BEAUTIFUL YOUNG MINDS』のモーガン・マシューズ監督が改めて映画化した作品。
ネイサンは小さな頃から、数字と図形に取り憑かれているような男の子だった。素数を好み、ランチの食材も素数でなければならないような。それでいて、他の子が当たり前にするようなことにはことごとく興味を示さなかった。たとえば、母親が触ることさえも嫌がった。
ネイサンにとって、自分の父親だけがネイサンを理解してくれる唯一の存在であり、たった一つの世界とのつながりだったのだ。
これは、そんな自閉症の男の子が、国際数学オリンピックを目指す話。自閉症のネイサンの周りには、凡庸でやさしい母親がいたり、人生の挫折に苦しむ先生がいたり、一緒に数学オリンピックを目指す子どもたちがいる。そのひとりひとりがとてもユニークな存在だ。
中には、酷く重い自閉症の症状の子どもも出て来て、彼の行動にいちいち驚かされるのだけど、それも僕たちがいったいそう言う人を目の当たりにした時にどのように彼を受け止め、振る舞うことができるのか、試されているような気がしてくる。
人間には、多数と少数はあったとしても、普通とそれ以外などという線引きすることはないのかもしれない。自閉症や、知的障害であれ、みんな一緒にこの地球上に生きているのだ。
リトルダンサーの製作陣が関わったというだけあって、全体の構成がよく感動的だ。カメラワークが素晴らしく、個性的な俳優陣がこの作品に深みを与えている。
★僕と世界の方程式http://bokutosekai.com

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