アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男

戦時中に数百万人ものユダヤ人を強制収容所へ送り、ユダヤ人問題の最終解決=ホロコーストの中心的役割を担ったアドルフ・アイヒマンは、戦争の終結とともに、海外へ逃亡した。
1961年のアイヒマン裁判を扱った『ハンナ・アーレント』という人間の残虐さを問いかけた素晴らしい映画があったけど、この映画はそのアイヒマンが捕獲に関わったフリッツ・バウアーという人物を追いかけた映画。
逃亡中のナチス親衛隊中佐アドルフ・アイヒマンが、海外に潜伏しているとの情報を得たバウアーが、ナチスの残党が残る中、危険も顧みずアイヒマンを捕獲する作戦に出る。
この映画を観て、50年代後半から60年代という戦後のドイツのことを、僕は何も知らなかったのだと思い知らされた。
ドイツは敗戦国でありながら、自らの過ちを受け入れ周りの国に対してきちんと謝罪をし、国際的にも認められている国だと思っていたのだけど、この頃は経済復興の勢いに乗り、未だにナチスの残党が国の中枢部に残り、国を影で支配し動かしていたようだ。
映画は、ポスターや予告からは想像できない、素晴らしい質のサスペンス映画だった。俳優たちの圧巻の演技、先の読めない脚本、戦後の暗い影を落とすドイツ社会の中で、奮闘するユダヤ人のバウアーを、震えるように見守り続けた。
こんな素晴らしい映画、今の日本では到底作れないだろうと思わせる作品。
★アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男http://eichmann-vs-bauer.com/info/?page_id=8

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