Nの夢。

10年間つきあっていた、僕がかつて一生添い遂げようと心に誓っていたNは、2年前の春に病気で亡くなった。
Nとは当時連絡を取らないようになっていたのと、女性と結婚していたこともあり、僕は1年近く経ったのち、Nが亡くなったことを知ったのだった。あれからNの命日近くには和歌山へ行き、お墓参りをしているのだけど、昨日の夜、Nが亡くなってからはじめてNの夢を見たのだった。
夢の中でNは、僕の横に寝ていて、それはNが亡くなった後10日経った状況だった。そうであるにも関わらず、Nは僕が話しかけると答えてくれて、まだ本当の意味では死んでいないのだと思ったのだった。
Nの奥さんと僕が食事をする約束をして、僕は心の中で、「きっと泣いてしまって話にならないんだろうな・・・」と思っていたところで、真夜中に夢から覚めたのだった。
恐い夢だったわけではないのだけど、僕は震えていて、少し泣いていた。もう随分前に、自分の中では受け入れたと思っていたNの死は、未だに僕の中に消化しきれずに、悲しみとなって眠っているように感じられたのだった。
トイレに立って、水を飲んでも眠ることが出来ず、しばらく布団の中でNのことを考えていた。
僕「Nが逝く時に、そばについていてあげたかった・・・」
そんなことを考えながら、涙が頬をつたった。
すると、いつもは爆睡して僕がトイレに立っても決して起きることのないKが、むくむくと起きて、僕に聞いた。
K「ただしくん、どうしたの?」
僕「Nの夢を見たんだよ。亡くなってからはじめて・・・。そばにいてあげられなかったのがつらくて・・・」
すると、凍えるような僕の手を、Kはしっかりとにぎり、ぎゅっと抱きついて来た。
僕は、Kにしっかりと抱きつかれながら、ぐるぐるとNのことを考えていたのだけど、気がつくとまた深い夢の中に落ちていった。
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