幸福な結婚式。

生きているとごく稀に、「なんて幸福なんだろう・・・」と思える時がある。
僕についていた後輩Sの結婚式の披露宴に呼ばれ、横浜に。
前から聞いていたSの彼女は年上の女性。所沢の駅でSが彼女が落とした携帯を拾って交番に届けたことがはじまりだったという。そんなことから1年後に交際がはじまり、ほぼ8年目を経て結婚に至ったのだそうだ。
Sは、とてもやさしい性格で、誰にでも好かれる男。たとえば、入社して数年たった時に広告賞に応募して見事に大賞を取ったのだけど、その年に大震災があり、Sは意を決してその賞金200万円をすべて義援金として寄付をしてしまったり、その手の話にことかかない。
パリに彼女と旅行をした時は、警察を装った男に、財布までチェックされて、気がついたら10万円盗まれていたというおとぼけさんでもある。
そんな子どものように可愛がっていた後輩の結婚式に呼ばれ、想像していたようにやさしそうなお母さんにお会い出来、最後にお父さんの挨拶では、珍らしくお父さんが泣き出してしまい、涙で挨拶もめちゃくちゃになってしまったのだけど、気がつくと僕も泣いてしまっていた。
結婚式会場には、ひとりひとりに手紙が添えられていて(写真)、Sと過ごした親子のような日々を懐かしく思い出したのだった。
写真の天国の橋、地獄の門というのは、僕がSに、箸の上げ下げを教えたことと、僕の名前がかけられており、昔僕がSとイタリアンを食べに行った時に、Sが物凄い音を立ててスパゲッティを飲み込んだ音を聞いて、僕が「地獄の門が開く音がする」とSに言い、スパゲッティを食べる時は、蕎麦やうどんのように、音は立てない方がいいと教えた思い出からきている。
自分の好きな人の幸福は、自分の幸福でもある。
彼の、一生に一度の幸福な瞬間に立ち会うことができて、僕も胸がはちきれそうなほど幸福だったのだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です