92歳のパリジェンヌ

2002年、リオネル・ジョスパン仏元首相の母親が、92歳で自ら死を選び取った実話をもとに、制作された映画。
近頃、老人や老い、死をテーマにした映画がとても多くなったように感じるけれども、ヨーロッパの国々は、これらのテーマに真っ向から取り組み、日本よりもずっと先に行っているように思う。この映画は、少しずつ身体の自由が利かなくなり、できないことが増えて行き、老いてゆく自分の未来を、自分で決断したいという尊厳死をテーマにした作品。
主人公のマドレーヌは、家族を愛し、そして何よりも奔放で、自分の生きたいように、意志を曲げることなく貫いて生きてきた。92歳の誕生日に、かねてから決めていた自分の最期について家族に発表するが、家族には猛反対されることになる。
そもそも、自分の人生なのだから、誰にも迷惑をかけたくはないし、人生のおしまいも自分で決めたいと思うマドレーヌと、息子や娘たちが反発し、やがて時間をかけてどのように受け入れていくのかを丁寧に描いた佳作。
マドレーヌ役のおばあさんはコメディアンだというけど、驚くほどナチュラルな演技だったし、サンドリーヌ・ボネールも、いつにも増して素晴らしかった。
老いは、誰にとっても他人事ではなく、じっくりと考えさせられる素晴らしい作品だった。
⭐️92歳のパリジェンヌhttp://gaga.ne.jp/92parisienne/

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