母との食事。

母の誕生日の翌日、久しぶりに母とお義父さんと食事をした。
中華料理のコースを食べていたのだけど、僕たちが話に夢中になっている間に、最後のメインの肉が運ばれ、ご飯が出た。
メインの肉を食べながら、母が、「あら…ご飯が私には多いわね…」と言った。実際にご飯は、軽く一膳分くらいだったのだけど、コース料理で品数も多く、最後のご飯は僕でさえそれほど食べられないくらいに感じていた。
母は、3割くらいのご飯しか食べることが出来ず、ほとんどご飯が余ってしまい、つぶやいた。
母「ご飯が捨てられてしまうから、私が持って帰るわ」
すかさずお義父さんが言った。
義父「ご飯は余ったら残せばいいよ。そんなの頼むのみっともないよ」
母は、お義父さんのそんな言葉には耳も貸さず、店員さんを呼んだ。
母「このご飯、ビニールの袋か何かに入れてくださいませんか?捨てられてしまうのはもったいないので。
ここに残ってる漬物も一緒でいいのでお願いします」
お義父さんは、「あんた、そんなこと頼んでみっともない」と言ったのだけど、僕は改めて、
「これが僕の母なんだ…」と思ったのだ。
食事の時に、お米を一粒も残さず食べることを教えてくれたのは、母だ。今になると、そんなことは当たり前のことだけど、厳しかった母の躾をありがたいと思う。
母は、小さなビニール袋に入った残り物のご飯を受け取りながら、満足そうに帰って行った。

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